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02月20日-02号

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  1. 京都市議会 2014-02-20
    02月20日-02号


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    平成26年  2月 定例会(第1回)       平成26年第1回                 京都市会会議録 第2号       (定例会)                    平成26年2月20日(木曜日)出席議員(67名)   1番 江村理紗議員   2番 中島拓哉議員   3番 佐々木たかし議員   4番 片桐直哉議員   5番 清水ゆう子議員   6番 森川 央議員   7番 橋村芳和議員  11番 村山祥栄議員  12番 国本友利議員  13番 青野仁志議員  14番 松下真蔵議員  15番 青木よしか議員  16番 山本ひろふみ議員  17番 香川佐代子議員  18番 しまもと京司議員  19番 椋田隆知議員  20番 桜井泰広議員  21番 加藤あい議員  22番 西村善美議員  23番 とがし 豊議員  25番 平山よしかず議員  26番 吉田孝雄議員  27番 湯浅光彦議員  28番 曽我 修議員  29番 天方浩之議員  30番 中野洋一議員  31番 隠塚 功議員  32番 下村あきら議員  33番 山元あき議員  34番 西村義直議員  35番 吉井あきら議員  36番 田中明秀議員  37番 玉本なるみ議員  38番 くらた共子議員  39番 河合ようこ議員  40番 樋口英明議員  41番 宮田えりこ議員  42番 久保勝信議員  43番 津田早苗議員  44番 井上教子議員  45番 大道義知議員  46番 ひおき文章議員  47番 谷口弘昌議員  48番 山岸たかゆき議員  49番 安井つとむ議員  50番 宮本 徹議員  51番 山本恵一議員  52番 中川一雄議員  54番 津田大三議員  55番 中村三之助議員  56番 大西 均議員  57番 山中 渡議員  58番 井坂博文議員  59番 北山ただお議員  60番 岩橋ちよみ議員  61番 井上けんじ議員  62番 西野さち子議員  63番 今枝徳蔵議員  64番 小林あきろう議員  65番 鈴木マサホ議員  66番 小林正明議員  67番 加藤盛司議員  68番 繁 隆夫議員  69番 富 きくお議員  70番 内海貴夫議員  71番 井上与一郎議員  72番 高橋泰一朗議員欠席議員(1名)  53番 寺田一博議員欠員(1名)   議事日程   開議日時 平成26年2月20日(木)午前10時第1 議第1号ないし議第21号,議第23号,議第25号,議第26号,議第28号ないし議第59号,議第63号ないし議第70号,議第73号ないし議第75号,議第77号,議第78号,議第80号,議第81号,議第84号ないし議第92号,議第95号,議第98号ないし議第102号,議第105号,議第245号及び議第281号平成26年度京都市一般会計予算 ほか88件~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 〔午前10時2分開会〕 ○議長(橋村芳和) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は,席上に配付いたしておきました。 本日の会議録署名者を指名いたします。中川一雄議員と中野洋一議員とにお願いいたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(橋村芳和) この場合,議長から御報告申し上げます。 今回受理いたしました請願2件及び陳情1件は,お手元に配付してあります文書表のとおり,所管の常任委員会に付託又は回付いたします。 なお,請願第174号は,お手元に配付してあります文書のとおり請願者から取下届が提出されましたので,取下げを認めることといたします。 次に,市長から,損害賠償の額の決定についての専決処分の報告が参っております。この写しはお手元に配付いたしておきました。 以上,御報告申し上げます。御了承願います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(橋村芳和) 日程に入ります。 日程第1,議第1号ないし議第21号,議第23号,議第25号,議第26号,議第28号ないし議第59号,議第63号ないし議第70号,議第73号ないし議第75号,議第77号,議第78号,議第80号,議第81号,議第84号ないし議第92号,議第95号,議第98号ないし議第102号,議第105号,議第245号及び議第281号平成26年度京都市一般会計予算,ほか88件,以上89件を一括議題といたします。 前回の議事を継続し,これより質疑を行います。発言の通告がありますので,これを許します。井上与一郎議員。 〔井上与一郎議員登壇(拍手)〕 ◆(井上与一郎議員) 右京区選出の井上与一郎でございます。繁隆夫議員,西村義直議員,下村あきら議員と共に,今市会に上程されております平成26年度予算案に対し,自由民主党京都市会議員団を代表いたしまして質疑を行います。どうぞよろしくお願いいたします。 一昨年末の政権交代により国民の圧倒的支持を得て発足した安倍内閣は,長引くデフレから脱却し,安定した経済成長を実現することが,我が国にとって最大かつ緊急の課題であるという認識の下,次々と大胆な経済政策を講じてこられました。本市もこれに積極的に呼応し,平成24年度2月補正予算と25年度当初予算に続き,景気対策のため4年ぶりとなる6月臨時市会を開会し,補正予算を組むなど,この間京都経済の再生を最重点に取り組んでまいりました。こうした取組の成果が芽を出し,景気回復の兆しが着実に現れてきております。本市の来年度予算でも,市税収入を106億円の増とするなど,景気の改善傾向を反映したものとなっております。とはいえ,まだ多くの市民の皆さんが,景気回復を実感できるところまでには至っておりませんし,消費税率引上げ後には景気の低迷のおそれもありますので,更なる取組が必要であります。このため,政府においては,昨年末,新たな経済対策を打ち出し,5兆円を超える補正予算を編成されました。本市も,これを積極的に活用した25年度2月補正予算と26年度当初予算を一体として編成され,本市会に提案されております。昨年度も同じように,国の大型経済対策に呼応して,24年度の2月補正予算と25年度当初予算を一体的に編成し,公共投資予算を前年度から3割以上増額したわけですが,今回も,補正予算と当初予算を合わせて,それと同程度の700億円規模を確保されております。 この度の予算は,このように公共投資の規模を確保するなど積極予算として編成されたとのことでありますが,それと同時に,財政構造改革についても大きく前進した予算となっています。本市では,市税や国から配分される地方交付税等の収入が伸びない一方で,社会福祉のために必要な経費が年々増大していることなどから,危機的な財政状況が続いており,職員の削減や事務事業の見直しなど,財政健全化のための精一杯の努力を積み重ねてきておりますが,なお財源が足りないため,行政改革推進債という特別な市債の発行や,市債の返済のために積み立てている公債償還基金の取崩しといった特別の財源対策が必要となっております。本市の市政運営の基本計画である「はばたけ未来へ!京プラン」実施計画では,その特別の財源対策を毎年約100億円以内に抑えることを目標としてきましたが,来年度予算では,その半分以下の47億円にとどめることができたとのことであります。 このように特別の財源対策を大きく減らし,財政構造改革を前進させることができたのは,京都市自身の行革努力もさることながら,やはり税収の回復によるところが大きいのではないでしょうか。経済成長こそが財政健全化の王道であり,この予算で先行きに光が差してきたとも言えますが,しかし,まだまだ楽観するわけにはいかないと思います。「財政状況が好転した」と言えるようになるには,経済の回復をより一層確かなものにし,更に力強いものとしていかなければなりません。また,税収が増えても,国から配分される地方交付税が減らされてしまえば元の木阿弥となります。来年度予算は,政策の推進と財政構造改革を両立させることで,市政を前進させる予算という風に評価できますが,決してこれで気を緩めるわけにはいかないと思うのであります。最初に,今回の予算編成に当たっての門川市長の基本的な姿勢,認識と今後の財政運営に対するお考えをお聞かせください。 次に,子育て支援,とりわけ今後の幼児教育,保育施策の在り方についてお伺いいたします。安倍内閣により,ようやく具体化が図られることとなった社会保障と税の一体改革の中で子ども・子育て支援の充実が大きな柱の一つとなっております。とりわけ保育所待機児童の解消については,国が待機児童解消促進化プランを策定し,平成27年4月からの子ども・子育て支援新制度の施行を見据え,これまでにない規模で拡充を図っておられるところであります。 この子ども・子育て支援新制度については,今年の4月から6月にかけて,各事業所にとっては運営費に当たる,いわゆる公定価格の骨格が国から示される予定になっており,また幼保連携型認定こども園をはじめ,施設や事業の認可基準の条例については,来年度,各地方議会に提案されると聞いております。本市では,待機児童解消のための受け皿の整備,そして子ども・子育て支援新制度の円滑な施行をすることは緊急の課題でありますが,これまでからの民間の幼稚園,保育園が各園とも優れた幼児教育や保育の実績を積み重ねてきておられ,行政としてはこれらの実績を更に高めるための取組が求められます。 そこで,こうした子ども・子育て支援新制度に関する諸課題とその対応については,各幼稚園,保育園にしっかりと周知を図り,各園の理解と協力を得て,安心して子育てができる環境を整えることが重要と考えますが,御所見をお伺いいたします。さらに,民間の優れた実績の上に新たな在り方を積み重ねていくためには,例えば本市直営の保育所について引き続き民間移管を進めていきつつ,広域的な役割を果たし得る一部の保育所については,幼保連携型の認定こども園への移行を検討するなど,公が幼児教育,保育施策の在り方について先導的な役割を果たしていくことが重要であると考えますが,いかがですか。お伺いいたします。 次に,農林業の振興についてお伺いいたします。一つは,我々自由民主党市会議員団が要望しております農産物などの地産地消の更なる推進についてであります。以前から全国的に言われておりますが,農業の抱える課題は,農業従事者の高齢化であります。全国で主に農業に従事する人は約178万人,しかしそのうちで65歳以上が6割を占めているのが現状であります。 次に,農家が小規模経営であり,規模の拡大や効率的な農業生産体制が進んでいないということと,更には,山間部では過疎化や耕作放棄地が増えているという問題があります。このことは林業においても同様の現象があり,農林産物の価格や需要の低迷なども相まって,経営が成り立ちにくい,成り立たないという問題があります。例えば,米で農業経営を成り立たせるには,一人当たり10ヘクタールから15ヘクタール規模の固まった広い農地で生産する必要があるとも言われております。簡単に言えば,京都市内の農地,約2,700ヘクタールが大きくて平坦な農地であるとすれば,約180人の農家で米の生産をすれば産業として成り立つことになります。しかし,現実は山間の棚田,丘陵,平坦といった地域ごとに異なる地形,またそれに適応した農地や水路の共同管理,土壌や気温,日照など自然条件の違いや,また所有する農地の分散といった諸条件の違いから,一律的な大規模で効率的な経営ができるところは限られてきます。このため,特に京都では気候風土に適した作物を栽培するという適地適作を基本に,消費地に近いという特性をいかして手間暇掛けた野菜の生産が進められてきました。私の住む嵯峨地域では,農家は日々栽培技術に磨きを掛けて,良質な小松菜の生産に励んでおられ,本市が推進しておられます京の旬野菜推奨事業に呼応して,10月から冬の3月にかけて旬の時期に生産,出荷にと頑張っておられます。また,この冬の時期,北区の上賀茂ではスグキ菜が,上鳥羽や吉祥院など南区,伏見区では九条ねぎ,クワイ,金時ニンジンが栽培されており,京都ならではの冬の光景となっております。 そして,こうした旬の時期の野菜を季節の味として楽しんできたのが,京のおばんざいであり京料理であります。昨年末には,京都の料理業界の皆様や門川市長の御尽力が実り和食・日本人の伝統的な食文化がユネスコの無形文化遺産として登録され,京料理やおばんざいが,京都観光の魅力の一つとして注目されるところであります。そうした中,京都においでくださる皆様は,どこで食事をされるでしょうか。京都の風情が感じられる空間,例えば北山磨き丸太の柱がある数寄屋建築や京町家の部屋で食事をされ,京都の食や文化を満喫していただいている方が多いのではないでしょうか。磨き丸太は,北山の小面積ではあるが高度な技術をつぎ込んだ林業によって生み出されたものであります。こうして考えますと,京都の伝統,文化,観光は,京都市内の農林業とも深くつながり,その地域で生産されたものを,その地域で一番うまく使い,消費する地産地消を基本に発展してきたと言えるのではないでしょうか。私は先ほど,単純に農家や林家の経営規模の拡大を進めることは問題だと言いましたが,それは本市の特性や地の利をいかし,大規模な農林業にはできない他産業と連携したきめ細かな対応をすることによって,付加価値の高い産業・消費体制を確立していくことが,農林業を伸ばすものであると思っているからであります。このためにも,本市で生産される旬の野菜や木材を本市の中で最大限活用するという地産地消でしっかりと農林業を振興することが,農家や林家の経営の安定,市民生活の向上につながり,ひいては本市全体の地域力を高めると考えますが,市長の御所見をお伺いいたします。 次に,こうした農林業の振興を図るには,農家や林家が安心して農林業に励むことができる環境をつくることが重要であります。特に農業にとっては命ともいえる水がしっかりと確保されることと,そして野生鳥獣の被害を受けないことによって農林業に励むことができるのであります。昨年は,台風第18号によって市民は多大の被害を被りました。農林業においても多くの被害を受け,度々このようなことが起こると困るといった不安も深まるばかりであります。本市においては,農林業災害の復旧に大変力を注いでおられるところであります。今後は,農業用水路などの維持管理をしておられる土地改良区が,災害の際にも被害を受けないように日常管理ができるようにしていくことが課題となります。 また,野生鳥獣被害に対しては,農家や林家は日々防除に工夫を凝らし,野生鳥獣と戦いながら頑張っておられます。本市の支援を得て,農家自らが狩猟免許を取得し捕獲するなど,地域ぐるみで防除に取り組んでおられる地域もあります。しかしながら,本市では,特にシカによる被害がまだまだ多いのが現状であり,「泉から水が湧き出るようにシカが出てくる」といった嘆きの声も多く,一層の捕獲の強化の取組が必要であります。イノシシはボタン鍋などで有効に活用されておりますが,シカもただ捕殺するだけではなく,食用としていかすことは自然への感謝につながり,命の大切さを教えてくれる取組であります。資源を大切にして,自然の恵みの循環をうまく使う文化が,元々京都にはあったのではないかと思っております。ただ,シカを食用として捕獲するのは難しく,細心の注意と技術が必要であるのに対し,シカ1頭の7割ほどは産業廃棄物として処理しなければならないことなど多くの課題があり,本市周辺の地域ではシカ肉処理施設に取り組んでおられますが,なかなか採算が合わないと聞いております。こうしたことから,安心して農林業に励むことができるように農業用水利施設の改修と維持管理に対する支援が重要であります。また,鳥獣被害に対する支援については,予算では大幅に増額されておりますが,今後どのように対策を進められるのか,特に本市ではシカによる被害が多く,このシカの捕獲に力を入れていただきたいと思いますが,どのようにされるのかお伺いいたします。 次に,観光客等の帰宅困難者対策についてお伺いいたします。本市では,東日本大震災の発生を踏まえ,147万京都市民の命と暮らしを守るため,防災対策を市政の最優先事項の一つとして,緊急度の高いものから全庁を挙げた取組を進めておられます。大規模災害が発生したとき,特に市民の皆様が避難する場合には,市内全避難所での運営マニュアルの作成や,163箇所の福祉避難所の事前指定等に係る協定締結など,防災対策の強化を推進しておられます。 一方,本市は,年間約5,000万人もの観光客にお越しいただく国際観光都市という一面も持っております。6年後の2020年,平成32年には,めでたく東京オリンピック・パラリンピックが開催され,また,その次の年には関西ワールドマスターズゲームズ2021も開催されることになっており,これから国内の盛り上がりが期待されますとともに,海外からも多くのお客様が日本に来られ,本市も更に多くのお客様をお迎えすることが予想されます。昨年の11月市会においては,次期「観光振興計画」を前倒しして策定するための予算を議決したところでありますが,今後の観光施策を考えていくには,誘客はもちろんのこと,観光客の皆さんには快適に安心して過ごしていただくための環境づくりが大変重要となってきます。特に巨大地震や先の台風第18号の大雨など,大規模災害の発生に備えた観光客の皆さんの避難先の選定や,そこへの避難誘導といった帰宅困難者対策については緊急の課題であり,我が自由民主党市会議員団の要望にも,これらに対処するための計画の早期策定を強く要望してきたところであります。 こうした流れを受け,私の地元,嵯峨嵐山地区では,嵐山保勝会やおもてなし推進協議会をはじめ地域の自治会連合会・自主防災会,寺院・神社,旅館・ホテルのほか,商店街など,幅広い地元の関係者が集まって協議会が設立され,また,東山清水・祇園地区でも協議会が設立されて,議論を重ねてこられたところであります。私はこの協議会を何回か傍聴させていただきましたが,本市の防災危機管理室・観光MICE推進室・区役所・消防署などの複数の部局と地元関係者が充分な議論の結果,昨年12月に帰宅困難観光客避難誘導計画を策定されたのであります。これは全国でも初めてのことと聞いており,評価しているところであります。ただし,計画を策定しただけでは,帰宅困難者対策のスタートラインにようやく立ったにすぎません。こうした計画を具体的に実現していくためには,本市の災害対策本部と避難誘導に当たっていく避難先の施設や,地元関係者との情報伝達手段の確保,観光客の皆さんへの災害対応情報の提供,備蓄食料や資器材や計画に基づいた訓練の実施など,様々な課題が待ち構えていると思いますが,いかがですか。 また本市の予算として,帰宅困難観光客対策として約2,800万円を組んでおられますが,それで十分と言える内容なのでしょうか,お伺いいたします。さらに,清水・祇園や嵯峨嵐山地域のみならず,こうした取組を本市域の有名観光寺院・神社や観光関連施設全体に拡大を図っていただきたいと思います。あわせて御所見をお伺いいたします。 次に,山ノ内浄水場跡地北側の活用についてお伺いいたします。山ノ内浄水場跡地のうち,御池通の南側は京都学園大学の京都太秦キャンパスの開設が決まり,27年4月のキャンパスオープンに向けて,現在工事が着々と進められております。地下鉄東西線の車内にも京都太秦キャンパスのポスターが張り出され,それを見ると緑豊かな開放的なキャンパスになるようであります。施設設備のコンセプトは「人と人,人と緑のコミュニティキャンパス」ということでありますが,多くの若者が集い,学び,また地域に出て活動・交流することはもちろん,大学施設の開放や市民向けの講座などが活発に行われ,多くの人々が行き交う生き生きとしたまちになることを期待しているところであります。京都学園大学の太秦キャンパスの開放を契機に,太秦天神川駅周辺地域のにぎわいや活性化,更には右京区全体の発展に大きく寄与するものと確信いたします。 さて,この跡地は京都市の土地の中で活用ができる土地としては大変大きな規模であり,地下鉄太秦天神川駅や嵐電天神川駅から徒歩3分,京都駅から地下鉄で20分という交通アクセスに優れた場所であります。また,周辺には広隆寺をはじめとする有名な寺社仏閣などの歴史・文化遺産があり,優れた景勝地である嵐山も嵐電に乗ればすぐであります。平成22年に京都市が策定した「京都市山ノ内浄水場跡地活用方針」においては,今述べましたようなポテンシャルの高い土地であることを踏まえて,市の西部地域はもとより市全体の活性化に資するような活用を図り,市の発展にとって未来を切り開く活力のあるものとなるようにすることとしています。そのような活用を図るのにふさわしい施設として,まずは大学が選ばれたわけでありますが,残る北側の跡地の活用の方向性について市長はどのようにお考えでしょうか。せっかくの貴重な土地を活用するのであり,わが自由民主党が政権を奪取し,アベノミクス効果でようやく景気に明るい兆しが見え始めている今だからこそ,南側の京都学園大学と共に,是非とも右京区,ひいては市全体の活性化や発展,都市格の向上,地下鉄の増客にもつながるような効果を発揮していただけるものを,スピード感を持って誘致していただきたいと期待しています。この点において市長はどのようにお考えになっておられるのか,今後の予定などと合わせてお伺いいたします。 次に,西院地域の違法駐輪対策と今後のまちづくりについてお伺いいたします。平安時代初期の淳和天皇の離宮が地名の由来といわれる西院地区では,現在マンションの増加などにより急激に人口が増加しております。一方,自治会加入率が低迷するなど,コミュニティや地域のまちづくりにとって重要な局面を迎えております。とりわけ阪急西院駅や京福西院駅のある西大路四条界わいは,年々活況を呈してきており,今年度末には西院地区バリアフリー移動等円滑化基本構想が策定され,平成32年度までに順次駅施設や道路などのバリアフリー化を進めていくこととなっております。この平成32年度は,先ほども申し上げました東京オリンピックパラリンピック開催の年であり,外国からの観光客の増加が見込まれ,本市の西の玄関口にふさわしいまちづくりが強く求められることとなりますが,現時点では,防災,環境,治安,交通,商業振興などもろもろの点で,多種多様な課題を抱えております。中でも放置自転車については,1日当たり230台とJR京都駅前をしのいでおり,市内でも最悪の状況であり,早急な対策が必要だと考えております。そこで,このような状況の西院地区における当面の違法駐輪対策とバリアフリー化を中心とした今後のまちづくりの進め方についてお考えをお伺いいたします。 以上で私の質疑を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(橋村芳和) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 井上与一郎議員の御質問にお答えいたします。 まず,来年度予算についてでございます。安倍政権の経済政策により景気は着実に回復に向かっており,これを京都の隅々まで行きわたらせ,京都の経済の再生を確実なものとすることが京都市政の喫緊の課題であります。また台風第18号で明らかになった課題や,東日本大震災の教訓を踏まえた市民生活の安心安全に向けた取組を強化していかなければなりません。こうした課題を踏まえ,来年度予算は特に三つの視点を重視して編成いたしました。 1点目は,あらゆる京都の強みをいかした成長戦略の推進であります。消費税率引上げを乗り越え,経済活性化や安定した雇用の創出,京都経済の確かな成長を実現するための取組に全力を挙げてまいります。 2点目は,市民の命と暮らしを守る取組についてであります。全国トップレベルの福祉と教育,子育て支援を一層充実させるとともに,災害に強い安心安全なまちづくりを加速させてまいります。 そして3点目に,京都の都市格を更に高め,世界の文化首都・京都を目指してまいります。東京オリンピック・パラリンピック等を契機に文化や景観,おもてなしの心に磨きを掛け,京都の魅力を強力に国内外に発信し,これらを京都経済の活性化にもつなげてまいります。来年度予算は雇用の政策を推進する積極予算としつつ,財政構造改革も大きく前進することができました。人件費30億円の削減など行財政改革の断行等により,公債償還基金の取崩しなど特別の財源対策を目標の半分以下の47億円にとどめ,市民が返済しなければならない市債の残高についても削減目標を前倒しで達成いたします。 しかし,依然として本市の財政基盤は脆弱であり,財政の危機的状況に変わりはなく,今後の景気動向や政府の地方交付税削減の動きについても大きく影響を受けるおそれがあるなど,井上議員御指摘のとおり決して楽観できる状況ではございません。今後とも私が先頭に立ってなお一層の財政構造改革を徹底するとともに,成長戦略を推進し,また国に対する地方交付税の拡充などの要望も強力に行い,特別の財源対策からの早期脱却に向け,全力を尽くしてまいります。 次に,子育て支援についてでございます。私はこの度の子ども・子育て支援新制度の実施に当たっては,民間保育園,幼稚園の関係者などの方々と共に築き上げてきた京都ならではの優れた幼児教育,保育の水準を最大限にいかして,よりよい教育,保育内容を市民や子供たちに提供することは極めて重要であると認識いたしております。そのため国において制度設計が今なお検討されている中で,本市としても国に対して適宜必要な意見を述べるとともに,詳細が決まれば,井上議員御指摘のとおり各幼稚園,各保育園に対する説明会を開催するなど周知を速やかに行い,関係者の理解の下に新制度の趣旨が京都で十分にいかされるよう取り組んでまいります。 今後本市におきましては,新制度に基づく子ども・子育て支援の事業計画を定め,認定こども園の普及をはじめ幼児教育,保育の一体的提供や推進に関する体制を確保することを考えておりますが,こうした取組を京都ならではのものにしていくために,民間保育園や幼稚園等との一層の協力を得てしっかりと取り組んでまいります。こうした中で,市営保育園については更なる民間移管を進めつつ,京都市子ども・子育て会議の御意見や民間での取組状況を踏まえ,民間保育園や私立幼稚園と十分に連携しながら,幼保連携型認定こども園の移行についても検討してまいります。今後とも民間でできることは民間にお願いしながら,公民全体で本市の幼児教育,保育の水準の更なる向上に努めてまいります。 次に,農林業の振興についてでございます。三方を山に囲まれ自然との共生が大切にされてきた京都では,古くから農林産物の地産地消が日常的に行われ,京都特有の木の文化や食文化が育まれてまいりました。京都市ではこれら農産物の地産地消を推進するため,例えば旬の時期の野菜を市民に供給する京の旬野菜推奨事業に取り組んできたところでございますが,今後生産から流通,消費までの一貫した取組をさらに充実,強化してまいります。具体的には,九条ねぎ,加茂なすなどのブランド京野菜に加え,希少種である桂うり,新しい京野菜である京唐菜,京ラフランなどの増産と出荷促進,飲食店と連携した食べ歩きフェア等による販路拡大,消費拡大などに努めてまいります。さらに米の地産地消の取組といたしまして,伏見の酒造組合と農家が連携し,オリジナルブランド酒を造る活動を支援するとともに,地元商店街や観光協会等にも呼び掛け,酒蔵周辺地域の活性化にも努めてまいります。 次に,林産物の地産地消につきましては,京都の地で育ったみやこ杣木をまず本市が率先して活用するため,昨年9月に利用量の数値目標を現状の2倍となる木材利用の基本方針を策定し,公共建築物等への積極的な利用を進めるとともに,全国に先駆けまして大規模建築物への利用を義務付ける条例を制定するなど,民間への需用拡大にも努めているところでございます。さらに,間伐材の木質ペレットとしての利活用や木質バイオマス発電の実施に向けた課題の解決など,自然の恵みであります森林バイオマスのエネルギー源としての利用を進めてまいります。今後とも,産業や観光の発展にも資する京都ならではの地産地消による農林業振興に全力を尽くしてまいり,更なる地域力の向上に努めてまいります。 次に,農林業の生産環境についてでございます。本市では,土地改良区や農家の皆様の負担軽減を図るため農地や農道,水路等の整備を支援しておりますが,とりわけ近年多発するゲリラ豪雨等に対応するため,雨水の排水機能を強化するよう整備を進めているところでございます。また水利施設等の老朽化が大きな課題であることから,右京区嵯峨の清滝堰改修に引き続きまして他の施設においても計画的に改修が進むよう支援してまいります。さらに,昨年の台風被害を教訓といたしまして,農業用水路についても浸水被害を防止するため夜間等も含めた緊急対応や土砂の取り除きなど,今までは土地改良区等が京都市の補助を受けて対応してきたものを本市自らが迅速に対応してまいります。 次に,野生鳥獣による被害対策についてでございます。本市では,平成23年度に京都市鳥獣被害防止計画を策定するとともに,平成24年度から有害鳥獣対策の専任職員を配置し,防除柵の設置や地域ぐるみの自主活動支援など防除対策と猟友会の協力による有害鳥獣捕獲対策を進めてまいりました。しかし,井上議員御指摘のように近年シカによる農林産物被害が増加していることから,来年度は捕獲頭数1頭につき国の交付金8,000円に京都市がさらに独自に1万4,000円を上乗せしまして2万2,000円を交付することにより,捕獲を集中的に進めてまいります。そのための予算を提案させていただいております。今後とも農林家の皆様が安心して従事できる環境づくりに努め,豊かで安心安全な市民生活に貢献する農林業を推進してまいります。 次に,観光客等の帰宅困難者対策についてであります。私は,国内外から多くの方々をお迎えしている京都においては,観光客の皆様の安心安全の確保こそが最大のおもてなしであると認識しております。そのため,東山・嵐山の地域の皆様と共に汗する共汗により避難誘導計画を策定するなど,観光客に特化した帰宅困難者対策を全国に先駆けて実施してまいりました。井上議員御指摘のとおり,計画の実効性をより一層高めていくことが重要であり,早速約130箇所の緊急避難先と市役所をつなぐ災害時優先電話の設置に取り組んでおります。また3月には,外国語でも対応する災害時優先情報提供システムを整備するほか,東山・嵐山の観光地には避難誘導の標識を設置いたします。 来年度には,緊急避難先へのPHSの配備や帰宅困難者約13万人分の水,食糧などの計画的な備蓄配備を進めるとともに,帰宅困難者対応の防災訓練も実施いたします。この度の帰宅困難者対策で特に重視した点は,地域,大学,民間事業者等と行政が連携して取り組む仕組みであり,限られた予算を最大限にいかし,京都ならではの力を結集し,より効果的な対策を進めてまいります。今後,取組の全市への拡大に向けましては,観光客が多い寺院,神社を含めた約30の施設を緊急避難先として指定することとしております。まずは京都駅周辺の施設を中心に年度内に新たな協定締結を行います。これらの取組により我が国のモデルとなる観光客帰宅困難者対策を確実に推進し,世界一安心安全な国際文化観光都市・京都を実現してまいります。 次に,山ノ内浄水場跡地の活用についてでございます。井上議員御指摘のとおり,山ノ内浄水場跡地は,極めてポテンシャルの高い用地であり,この用地を最大限有効に活用し,右京区はもとより本市全体の活性化や地下鉄増客に資するため,京都市山ノ内浄水場跡地活用方針を策定いたしました。この活用方針に基づきまして,南側の跡地活用事業者として選定した学校法人京都学園が緑豊かで多様な人が交流できる空間を確保し,また災害時には防災施設として避難場所等の機能を併せ持つ,これまでにない地域に開かれたキャンパスを整備することとしており,来年4月の京都学園大学開設に向けて現在順調に工事を進めておられます。北側の跡地につきましても,活用方針に基づきまして学びの環境の充実や文化,健康など生活の質の向上が図られ,人々の交流拠点として新たなにぎわいが創出される施設を誘導してまいります。これにより跡地活用の効果が更に高まり,南側に立地する大学と共に豊かな都市機能が集積したまちづくりが進むものと確信いたしております。 今後につきましては,スピード感を持って進めることが大事であると認識しており,跡地活用事業者の公募に向けまして,まずは来月中に事業者選定委員会を設置いたしまして募集条件の検討を行ってまいります。その後,公募を開始し,一定の募集期間を経まして事業者を選定いたしまして,水道利用地としての役目を終える来年4月には引渡しができるよう取り組んでまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(橋村芳和) 藤田副市長。 〔藤田副市長登壇〕 ◎副市長(藤田裕之) 西院地域のまちづくりについてでございます。本市では,放置自転車対策を積極的に実施してまいりました結果,平日の放置自転車台数は平成21年度の4,200台から平成25年度には1,019台と大幅に減少しております。西院地域におきましても自転車撤去強化地域に指定し,週1回以上の撤去を実施するとともに駐輪場の整備も鋭意進めてまいっておりますが,井上与一郎議員御指摘のとおり,依然として放置自転車が多いことから,今後とも西院地域における放置自転車対策を強力に推進してまいります。 さらに,阪急西院駅や京福西院駅等の早期のバリアフリー化に向け,利用者や地元の代表の皆様等が参画される連絡会議での現地調査や意見交換会等を踏まえて,本年3月には西院地区の基本構想を策定し,来年度から整備に着手できるよう取り組んでおります。こうした取組を持続可能なまちづくりにつなげていくためには,地域力をいかした住民主体のまちづくりが重要であります。このため今年度右京区役所がコーディネーター役となり,西院学区の住民の皆様をはじめ学識者,学生,交通事業者及び警察,本市関係部署など多様な主体で構成するプロジェクトチームを立ち上げ,ワークショップや違法駐輪の実態調査等を実施してまいりました。さらに,来年度以降はこのプロジェクトチームを核として,放置自転車対策のみならず西院地域が抱える安心安全に関する様々なテーマに対して,市民の皆様と行政の共に汗する共汗,協働による息の長いまちづくりの取組へと進化,発展させてまいります。以上でございます。 ○議長(橋村芳和) 次に,繁隆夫議員に発言を許します。繁議員。 〔繁隆夫議員登壇(拍手)〕 ◆(繁隆夫議員) 伏見区選出の繁隆夫でございます。井上与一郎議員に引き続き,西村義直議員,下村あきら議員と共に自由民主党市会議員団を代表し,質問を行います。 来年度予算と合わせて提案されております使用料等の改定についてお伺いいたします。市長は,昨年11月市会における市バス,地下鉄の運賃改定のための条例改正に続き,本市会においても,上下水道料金をはじめ,スポーツ施設や文化施設などの使用料について消費税率の引上げ分を転嫁するための条例改定案を提案されております。今回の消費税率の引上げについては,社会保障が将来世代の負担で維持されている現状を改め,今後ますます高齢化が進展する中でも,社会保障制度が将来にわたって継続可能なものになるよう,必要な財源を安定的に確保するという目的で国会において議論を重ね,先の民主党政権のときでありましたが,自公民三党合意のうえで立法化されたものであります。 そして政権交代後,現在の安倍内閣において,昨年10月に経済情勢を慎重に見極めたうえで,法律どおり今年4月から実施されることが確定しました。あわせて,消費税率の引上げによる景気の下振れ等に対応するため,所得の低い世帯等への給付も含めた総合的な経済対策も実施されることとなっております。増税というのは,どんな場合でも多少なりとも痛みを伴うわけで,全ての人に歓迎されるというものではありませんが,子や孫の世代にこれ以上借金を増やすのではなく,今を生きる我々が負担を分かち合うべきだという今回の消費の趣旨を,多数の国民の皆さんは理解しておられるものと思っております。こうした判断を経て,決められた消費税率引上げについては,その趣旨に添って国民みんな協力していく,例えば中小零細企業が価格に転嫁できずに泣きを見ることがあってはならないですし,そのためにも,行政も含めて消費税についてはきちんと法律の定めに従っていくと同時に,経済対策などについても国と連携してしっかりと取り組む,そういうことだと私は思っております。改めて,今回の消費税率引上げに伴う使用料等の改定について市長の基本的なお考えをお聞かせいただきたいと思います。 次に,交通事業についてお尋ねいたします。この1年間,交通水道消防委員会として交通事業について様々な報告を受けてまいりましたが,私が交通水道委員長を務めた平成19年度当時とは隔世の感があると言っても過言ではないと思います。当時,市バス事業は,民間並みコストで運営してもなお赤字となる路線について一般会計から補助金を繰り入れたうえで,ようやく経常収支の黒字を確保し,地下鉄事業においては,日々の運営費と建設費の利子返済すら運賃収入で賄えないという非常に厳しい経営状態でありました。まさに,市バス,地下鉄の経営健全化は市政の最重要課題の一つであり,乗客増対策を含めた経営健全化を強力に推進するよう我が党からも再三にわたり要望していた日々が思い起されます。その後,両事業の経営は,平成22年3月の経営健全化計画の策定により転機を迎えます。門川市長は,これまでのコストカット中心の発想に加え,増客による経営改善の視点を全面に取り入れたこの計画を実効のあるものとするため,まず自ら先頭に立ち,あらゆる部局に檄を飛ばされ市役所挙げて取り組んでこられたことは,周知のとおりであります。 そうした背景の中で,市バス事業においては,路線・ダイヤの見直しやバス待ち環境の向上などの収入増加策と,職員削減をはじめとするコスト削減策を両輪で進められた結果,昨年度,計画よりも3年前倒しで経営健全化団体から脱却されました。また,更なる利用促進に向けて,本年3月には車両の大幅増車による路線・ダイヤの拡充も予定されております。積極投資が空振りに終わることのないよう,利便性向上と利用促進を共に推進する「経営の好循環」を是非とも実現していただきたいものです。 地下鉄事業におきましても,この間,5万人増客推進本部を核とした全庁挙げての増客の取組や,駅ナカビジネスの拡大などの収入増加策と,地下鉄駅職員業務の民間委託などによる職員削減を初めとするコスト削減策をまさに全庁体制で推進され,一歩一歩健全化の歩みを進めてこられました。計画の上半期に予定していた5パーセントの運賃改定を回避したうえで,なお計画を上回る収支の改善を図られたことは,私どもとしても評価するところであります。しかしながら,1日当たり5万人の増客を目指す地下鉄事業においては,計画後半に毎年9,000人を超える増客を見込んでおり,その達成は容易なものではありません。また,この4月に消費税率の引上げに伴う運賃改定を予定されておりますが,計画の上半期に予定していた運賃改定をいつまで踏ん張れるのかという課題もあります。こうしたことから,平成26年度は,市バス事業が経営健全化団体を脱却後,更なる前進を始める年であるとともに,地下鉄事業が経営健全化計画に掲げた目標の達成に向け,後半5年間の厳しい道のりに足を踏み入れる年と言えます。まずは,現在の立ち位置を踏まえ,経営の健全化を着実に推進するとともに,市民生活と京都のまちの発展を支えるお客様目線に立ったサービス向上に力強い一歩を踏み出していただきたいと存じます。そこで,市バス・地下鉄事業の現状と課題を踏まえたうえで,平成26年度予算に込められた思いと今後の決意をお答えください。併せて,地下鉄事業における今後の運賃改定の見通しについてお聞かせ願います。 次に,京都経済の成長と発展についてお尋ねします。「失われた20年」と言われる長期にわたる不況から脱却すべく,多くの国民の信任を得て安倍政権が誕生し,大胆な金融政策,機動的な財政政策,民間投資を喚起する成長戦略という「3本の矢」からなる経済政策,いわゆるアベノミクスを日銀と緊密に連携しながら推進しているところであります。このアベノミクスの政策効果に支えられ,平成25年に入り我が国の景気はようやく明るさを取り戻し,長引くデフレから反転する兆しが現れております。まず大胆な金融政策と機動的な財政政策の実施によって企業マインドが着実に改善しております。その影響は実体経済にも及んでおり,個人消費,設備投資などへの支出増が生産の増加に,そしてそれが所得の増加をもたらし,新たな消費につながるという好循環の芽が出始めております。消費物価の前年度比下落縮小に見られますように,デフレ状況にも改善が見られておられますし,また,成長戦略も動き始めており,持続的な成長への期待がいよいよ高まっております。 さらに,昨年国を挙げての誘致に成功した平成32年の東京オリンピック・パラリンピックの開催は,インフラ整備等,経済面で大きな需要の創出が期待されるとともに,世界中から日本が注目され,世界中に日本のすばらしさを発信できる機会であります。安倍総理が施政方針演説で,オリンピックを「その先の未来を見据えながら,日本が新しく生まれ変わる大きなきっかけとしなければならない」と述べられましたが,私も全く同感であります。私は,国全体で景気回復の機運が盛り上がる今こそ,京都経済の成長と発展を実現していく絶好の機会であり,京都市もこれまで以上に積極的な産業政策を進めるべきであると考えます。そして,こうした取組を進めていくためには,京都市だけではなく京都府や経済界,大学も含めオール京都での支援体制の構築が欠かせません。京都商工会議所の立石会頭も,経済4団体の新年の御挨拶の中で,これまで進められてきた産学公連携の組織や拠点整備等の成果をいかし,京都の先端的かつ独創的な事業シーズをいかした新たな事業創造の取組を強力に推進すべきと提言されました。また,京都経済界100年の計である京都経済センターの早期実現に向けた決意も述べられました。そこでお尋ねします。こうした国や地元経済界の動きを絶好の機会と捉え,今後,京都経済の更なる成長と発展に向けてどのような取組を進めていくのか,京都経済センターに対するお考えも併せてお聞かせください。 次に,環境にも優しい移動手段である自転車の走行環境の整備についてお尋ねします。京都市は自転車分担率が高いまちであります。例えば,平成22年度に行われました第5回近畿圏パーソントリップ調査では,京都市の自転車分担率は21.4パーセントであり,同年に実施された全国都市交通特性調査においても自転車分担率が高い都市となっています。そして京都市は,自転車屋さんの数が大変多く,毎年,多数の自転車が販売されている一方,自転車観光も最も大変盛んなまちであり,レンタサイクル取扱施設も,その利用客も増加している状況にあります。 さて,自転車の走行については,昭和30年代以降,自動車の急激な増加に伴い,交通事故で亡くなる人が年間1万人を超える事態となりました。このため,交通事故死亡者数が年間1万6,765人とピークに達した昭和45年,国は道路交通法を改正し,自転車の歩道上の通行を認めることとしました。こうしたこともあり,交通事故死者数も自転車事故の死者数も共に大きく減少することとなりましたが,欧米諸国では,その間も自転車が車道を走りながら,徐々に交通事故を減少させるという結果を生み出しました。しかし今,日本では,高齢化社会の進行と共に,歩道での自転車事故が深刻な問題となってきており,この10年の状況を見ますと,交通事故は3割減少しているにもかかわらず,自転車対歩行者の事故については,約1.5倍に増加しているのが現状となっています。 こうした中,警察庁は,平成23年,長らく誤解をされてきた自転車は道路交通の場においては,歩行者と同様の取扱いをされるものであるという考えを払拭させるため,自転車は車両であるとの徹底を図り,車道を通行する自転車と歩道を通行する歩行者の双方の安全性を確保することを基本的な考えとすることを打ち出し,国土交通省と共に,自転車は車道を通行することを大原則として自転車道や自転車専用通行帯など自転車通行空間の整備形態や利用ルール等のガイドラインが策定され,全国に具体的な通達として発信されたのです。 さて,京都市の自転車政策ですが,放置自転車や駐輪場整備の自転車政策課をはじめ,歩くまちの都市計画局,自転車観光や啓発・マナーなどほとんどの局にまたがっているのが現状です。しかし,私は,今こそ関係局が共通理解のもとで自転車走行環境の整備をしなければならないと考えています。自転車の基本は車道としている国土交通省のガイドラインがあるにもかかわらず,京都市では,道路ごとに自転車環境の整備が異なる状態になっています。これまでも,市会の場で自転車政策を総合的,戦略的に推進するコントロールタワーが必要との指摘がありましたが,「検討する」との答弁だけでした。もうそんな段階ではありません。是非とも,京都のまちの自転車走行環境について統一的な方針を立て,縦割り行政にならないよう組織的な自転車政策が可能となるように,具体的な体制づくりについて御答弁を頂きたい。 次に,学校組織の活性化と人材育成についてお伺いします。この数年,学校組織においては,管理職やベテラン教職員の大幅退職時代を迎え,26年度4月の採用も含め新規採用者は,過去5年間で毎年平均300人を超え,非常に多くの若い方が京都市立校で新たに教壇に立たれている状況であります。こうした状況は全国的にも同様だと聞いており,自治体間で,優秀な教員志望の若者を取り合う状況にあると伺っています。言うまでもなく,子供たちの教育にとって最も大切で重要な資源というべき教師が高い資質を有することは,本市の今後の教育の充実にとって必要不可欠であります。しかし,我々が社会で働き始めてであったように,一人一人の職業人としての資質は,最初から非常に優れているというわけではなく,宝石の原石が磨けば輝くように,日々の子供の触れ合いや教育活動を通して,また先輩から多くの教えを通して,高めていかなければなりません。こうした意味からも,私自身は,教員の人材育成,資質向上において,学校現場での学びと育成のシステム,いわゆる「OJT」が確立されているか,そして,それぞれの学校で校長先生,教頭先生と若い先生の間を取り持つ中堅層教員が意識を持って生き生きと活躍しているかが非常に重要であると考えており,若手教職員にとって憧れとなるような身近な教員が育っているのか,また,中堅層の教員に若手を育成していく意識やノウハウが育まれているのかということをしっかり検証し,必要な施策を講じていかなければならないと考えています。しかし,現在,学校組織においては,この最も重要な中堅層,年齢で言えば30代後半から40代半ばまでの教員が約18パーセントと非常に少ない状況にあり,今後10年,15年の本市教育を考えたとき本当に心配しております。そこで,若手育成の核であり,かつこれから管理職として学校全体のマネジメントを担っていく人材である現在の中堅層をどのように育てていこうと考えているのか,教育長のお考えをお伺いしたい。 次に,大岩街道周辺地域のまちづくりについてお尋ねいたします。思い起こせば,私が大岩街道周辺地域の問題について初めて本会議で代表質問を行ったのが平成7年11月のことですから,あれからはや18年余りが経過いたしました。当時,この地域では無許可造成や違法建築,更には野焼きなど様々な違法行為が行われ,無法地帯と言っても過言でないような様相を呈しておりました。その後,平成8年11月には,京都市違法開発等対策会議で,悪質・重大な違法行為の排除等についての方針決定が行われ,翌年以降,全庁体制による現地監視活動や適正処理指導が行われた結果,大規模な野焼きについては沈静化することになりました。あわせて,私は機会あるごとに,この地域におけるまちづくりの基本的な考え方をまとめるよう提言を行ってまいりました。その結果,平成11年には大岩街道周辺地域の将来構想(土地利用の方向性)素案が作られ,平成18年には違法行為を許さない良好な地域環境づくりの方向性を示す指針が策定されました。 しかしながら,その後においても,私は委員会等の場で,野焼きが終息したというだけで市役所の中に安堵感が広がってしまったのではないかという指摘をせざるを得ませんでした。具体的に取組が目に見える形で現れなかったからであります。その後,平成22年3月に大岩街道周辺地域の良好な環境づくりに向けたまちづくりの方針が策定され,この方針に基づき,門川市長の強いリーダーシップの下,深草支所や環境政策局等の努力もあって,平成24年8月の地元説明会開催,11月の都市計画審議会における承認,12月の地元協定締結などの手続を経て,25年6月から岡田山の撤去作業がスタートいたしました。産業廃棄物で形成され,地域の環境問題の象徴とさえ言われました岡田山の撤去が具体的に動き出したことは画期的なことであり,誠に感慨深いものがあります。同時に,長年地域の良好な環境づくりに取り組んできた者からすれば,隔世の感を覚えずにはおられません。岡田山撤去事業自体は,民間事業者が自らの責任と費用負担により実施するものではありますが,京都市としても,周辺地域の生活環境を保全するために,独自に環境調査や交通量調査を実施するなど,地元協定に基づき,的確に事業者の指導,監督を行っていただきますよう要望しておきます。 私は,常々物事にはタイミングというものがあり,それを逃してはいけないと思っております。岡田山撤去事業がいよいよ目に見える形で動き出した今こそ,決してこれに安住せず,次なる一手を打つときであると考えます。かつての大規模な野焼きこそ終息したとはいえ,この地域には今なお200件を超える違法建築や産業廃棄物の違法堆積などが存在していることは厳然たる事実であります。スピード感,スケジュール感を持って,伏見区域のみならず山科区域も含め,しっかりと違法状態の解消に向けて取り組んでいただくことを求めるものであります。また,この地域のまちづくりの手法としては,地区計画制度の活用がうたわれておりますが,実現への道のりについては決して平坦なものではないことは私も理解しておりますが,深草地域の方々の思いやこれまでの歳月を鑑みますと,20年,30年,いえ50年,100年の計に立ったまちづくりを進めていく必要があります。岡田山撤去作業が動き始めたこのタイミングを逃さずに,アクションを起こすことが肝要であります。そこでお尋ねいたします。大岩街道周辺地域における違法建築や違法堆積等の是正に向け,どのように取り組まれようとされるのか,併せて,今後のまちづくりについて具体的にどのような方法で進めていこうとされているのか,市長のお考えをお伺いいたします。 次に,鴨川運河(琵琶湖疏水)の有効活用についてお伺いします。昭和20年代まで京都市大津間の琵琶湖疏水で運行されていた船を観光船として復活させようと,この度大津市との間で検討プロジェクトチームが設置され,現在事業化に向けた様々な議論が行われていると聞いております。トンネルの安全性や避難経路の確保,水深が浅いなどの課題はありますが,外国人技師の力を借りずに成し遂げられた偉業と近代の産業遺産のすばらしさを多くの人々に体感してもらえるまたとない取組であり,大いに期待しているところであります。琵琶湖疏水と言えば,一般には岡崎周辺のイメージが強いのですが,鴨川合流点から濠川までの,いわゆる「鴨川運河」と言われる区間も,春には桜が水面まで覆い尽くす姿は圧巻であります。最近では,地域ボランティア団体等によって,疏水沿いの桜のライトアップやイベントなど行われるようになり,地元や観光客の間では深草地域の風物詩の一つともなっているところであります。また,この区間の疏水沿いには多くの史跡や名勝が点在しており,観光面での活用が十分期待できることから,私は随分以前から,観光船の運航について提案してきたところでありますが,水深が浅いことや橋の強度などの理由に,一向に前進してこなかった経過があります。私は,例え公営企業の財産であっても,維持管理の視点にとどまることなく,地域活性化のために積極的に活用することが必要だと考えます。トンネル部分が多いため,より課題の大きい京都市大津市間での事業化調査を行うのであれば,同じような条件にあるこの区間についても,観光での活用に向け,調査,検討を行うべきであると考えますが,市長のお考えをお聞かせください。 次に,アニメを活用した地域おこしについてお伺いします。伏見稲荷地域が舞台となっている「いなり,こんこん,恋いろは。」という作品がアニメ化され,1月からKBSでテレビ放映が開始されました。今,伏見地域ではテレビ放送を機に,伏見稲荷地域の魅力を全国に発信しようと,伏見稲荷大社や伏見稲荷参道商店街,京阪電鉄をはじめ地元の皆さんが協力し,スタンプラリーなどのイベントや様々なキャンペーン活動を精力的に展開されているところであります。このアニメの特徴は,地元の皆さんの全面的な協力の下,現地で綿密なロケを重ね,伏見稲荷大社や界わいの町並み,お店,学校,通学路に至るまで,地元の皆さんが普段見慣れた風景が忠実に再現されている点であります。アニメファンの方の作品の舞台となった場所を訪れることは,ファンの間で「聖地巡礼」と呼ばれており,その市場規模は今や100億円以上とも言われています。京都が舞台となった最近のアニメでは「たまこまーけっと」や「有頂天家族」に登場した「出町枡形商店街」にも,全国から多くのアニメファンが訪れています。観光庁,経済産業省,ジェトロなども,外国人に人気の高いアニメ作品を活用して,訪日外国人観光客を呼び込もうと,全国の「聖地巡礼」スポットを外国人に積極的にPRしていこうとしています。京都における聖地巡礼は,単に経済的な側面だけでなく,アニメの視聴をきっかけに,若い人たちにも京都の奥深い歴史や文化に興味を持ってもらい京都ファンになっていただくことにもつながるものであります。また,平成32年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて「クール京都」を積極的に海外にPRする絶好の材料であると考えます。京都市としても,地域の盛り上がりを後押しする形で,アニメを活用した地域おこし,全国,海外へのPRを強化すべきと考えますが,市長のお考えをお聞かせください。 以上で私の質疑を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(橋村芳和) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 繁隆夫議員の御質問にお答えいたします。 まず,消費税率引上げに伴う使用料等の改定についてでございます。この度の消費税率引上げは,社会保障制度を将来にわたり持続可能なものとするために,勤労世代など特定の者への負担が集中せず,あらゆる世代が広く負担を分かち合うものとして国会で議論を重ね,決断されたものでございます。この法の趣旨や国からの通知にのっとり,本市においても公の施設の使用料等について原則として使用税率引上げ分の転嫁をお願いすることといたしております。仮に本市の消費税率負担を使用料等に転嫁しなければ,本来負担すべき施設の利用者が負担せず,利用しない方も含めた市民全体の税金でこれを負担することになり,これは社会保障の維持,充実につながらないだけでなく,受益と負担の公平も損なうこととなります。使用料等の改定に当たりましては,施設やサービスを利用される皆様への丁寧な説明に最大限努めてまいります。同時に,中小企業等への支援として経営体質強化のための専門家派遣や販路開拓,消費喚起のイベント等への助成を本市独自に実施するほか,融資制度も充実いたします。さらに低所得,子供のいる世帯への臨時給付金,公共投資予算の確保などによる需要の創出など,あらゆる政策を通じて市民生活の安心安全を守り,京都経済の活性化を図ってまいります。 次に,市バス,地下鉄事業についてでございます。市長就任当時,地下鉄事業は危機的な経営状況にありました。経営状況は大きく改善いたしましたが,依然として両事業の経営改善は市政の重要課題でございます。現在市民の皆様の御協力の下,交通局を先頭に全力で市民目線に立った利便性の向上と経営の健全化に取り組んでおります。市バス事業は昨年度決算において3年前倒しで経営健全化団体から脱却し,この3月から交通局が職員一丸となって更なる市民目線に立って,利便性の向上によりお客様の利用促進を図る攻めの経営を推進してまいります。 具体的には,35年ぶりとなる24両の大幅な増車を行い,京都駅と四条河原町を直行で結ぶ便利なショッピングライナーの進出,夜間ダイヤの充実,鉄道等の設備強化など路線ダイヤを拡大するとともに,行き先等の分かりやすさを一層高める主要幹線道路ごとのラインカラーの採用など,車両等の案内表示のデザインを一新いたします。地下鉄事業におきましては,この間,お客様が4年間で1日当たり2万人増加しており,さらに目標である5万人増客に向けて沿線地域の活性化など,市の総力を挙げた取組や駅ナカビジネスの更なる展開によって健全化計画を着実に推進してまいります。また,エレベーター等の表示を分かりやすくするための案内サインの充実や,快適なトイレを目指しましてにおいを一掃する全トイレのオーバーホールによってサービスを向上させます。繁議員お尋ねの経営健全化計画の上半期,すなわち平成25年度までに見込んでおりました地下鉄の5パーセントの運賃改定は,交通局の努力と市民の方々の御協力を得まして計画を上回る収支改善を達成していること,また現下の市民生活も考慮し,27年度においても実施を見送ることといたします。今後とも公共交通優先の歩くまち・京都の中核として日本一お客様サービスの提供,あるいは市バス事業の自立した運営の確立,地下鉄事業の将来にわたる安定した運営の実現に向けて全力を傾注してまいります。 次に,京都経済の成長と発展についてでございます。京都の強みである伝統産業や世界を舞台に活躍を続ける先端企業,さらに大学が集積する特色をいかし,政府の経済対策を積極的に取り込み,京都経済の活性化を図ってまいります。とりわけ成長の見込まれる健康,医療や環境,エネルギーの分野において大学の研究成果を地元企業に結び付けることにより,新事業の創出や新産業の振興に取り組んでまいります。また市内に数多くあるベンチャー企業や高度な技術を有する中小企業の成長を加速させるとともに,海外のニーズにマッチした伝統産業製品の販路開拓を支援するため,ジェトロ京都事務所の誘致やパリ,上海における展示商談会への出展支援など中小企業の海外展開を積極的に応援してまいります。加えて,東京オリンピックパラリンピック開催等を見据えまして,観光MICE推進策の一層の充実を図り,国内外から観光客や国際会議の誘致に全力で取り組んでまいります。繁議員御指摘のとおり,このような取組をするためには,オール京都での産業支援体制が不可欠であります。京都経済センターは,商工会議所等の経済関係団体が一堂に結集する中小企業振興の拠点として,京都経済の更なる成長と発展に大きな役割を果たすものであります。京都市,京都府,経済界のオール京都体制で早期実現に向けました取組を強化してまいります。 次に,自転車政策の推進体制についてでございます。本市では,平成24年3月に取りまとめました自転車通行環境整備プログラム案や,平成24年11月に国が策定しましたガイドラインに基づきまして自転車通行環境の整備に取り組んでおります。ガイドラインでは,自転車の車道通行を原則としつつ地域の課題やニーズ,交通状況等を踏まえ,整備形態を選択する,選定することとされており,本市では御池通や七条通等において各道路の特色に応じた整備を進めております。繁議員御指摘のとおり,自転車が自動車や歩行者と共存して安心安全に通行できる環境整備や道路整備だけにとどまらず,放置自転車対策や観光客を含む自転車利用者及び自動車利用者に対するマナーの啓発等取り組むべき課題が非常に多岐にわたり,各局にまたがっている現状でございます。このため,今年度,平成26年度当初の組織改正におきまして戦略的な自転車政策推進のため,総合調整機能を担う自転車政策推進室を建設局に設置し,専任の部長級職員を配置いたします。加えまして広範多岐にわたる自転車に関する施策の更なる融合,推進のための庁内プロジェクトチームを新たに立ち上げ,安心安全な総合環境の整備,総合マナーの改善啓発,レンタサイクルの普及をはじめとする観光分野での活用などより総合的な自転車政策を全庁挙げて強力に推進してまいります。 次に,大岩街道周辺地域についてでございます。この地域は繁議員御指摘のとおりかつて大規模な野焼きや不法投棄などが行われ,周辺に直接的な被害を及ぼす違法行為が行われましたが,全庁挙げて継続的な現地監視活動と指導に取り組み,沈静化させてまいりました。しかし,繁議員御指摘のとおり,住居や作業場などの違反建築物や産業廃棄物の違法堆積などが今なお残っているのが現状でございます。このため岡田山撤去に着手する機会を捉えまして,これらの問題を抜本的に解決するという固い決意の下,昨年5月に違反状況の一斉の立入調査を実施し,10月には全庁体制で構成する違法開発と対策会議において年次計画を立て,計画的に違反状態を解消することといたしました。 まず,まちづくりの方針で分けました三つのエリアのうち,緑豊かな環境の再生を誘導するエリアの違反建築物につきましては,顕著なものは5年間でなくし,残る軽微なものも10年で全て解消すべく監督処分をはじめとした強力な是正指導を進めており,既に7件を撤去させ3件が撤去工事中であります。また産業廃棄物の違法堆積につきましては,5年以内の解消を目指しまして,全エリアにおいて法的措置も視野に入れた徹底した是正指導を行っており,これも既に7件を是正させるなど,この間の取組は大きく前進しております。今後も指導体制を強化し,山科区域も含め徹底した是正指導をさらに強めてまいります。今後のまちづくりにつきましては,まずは岡田山のエリアにおいて地縁者で構成するまちづくり協議会に技術的な支援を行いながら,周辺の地域環境と調和した具体の事業計画づくりを誘導してまいります。また住宅や事業所が集積するエリアにつきましても,住民の皆様によるまちづくりの機運を高めるための整備手法や助成制度の在り方について検討を進めてまいります。 次に,琵琶湖疏水の有効活用についてでございます。琵琶湖疏水の建設は,明治の先人の努力により多くの苦難を乗り越えて成し遂げた世界に誇るべき偉業でございます。繁議員御指摘の鴨川運河は,第一疏水のうち鴨川に合流する冷泉放水口を起点に伏見の濠川合流地点までをいい,明治27年の開通,翌28年の伏見インクラインの完成によって大津から京都,大阪を結ぶ船の運航が始まりまして,新たな物流ルートとして都市の発展に大きく寄与してまいりました。この鴨川運河の船の運航は,鉄道やトラック輸送など陸上交通の発達によりまして昭和22年に廃止されましたが,暗渠から再び地上に出る塩小路以南の沿線につきましては,繁議員御指摘のとおり桜並木や神社仏閣など観光資源が豊かな地域でございます。現在,深草地域を南北に流れる貴重な資源である琵琶湖疏水について,伏見区区民提案共汗型まちづくり支援事業により設置されました大学やNPO法人などが参加する鴨川運河会議において,活用が熱心に議論されております。繁議員御提案の観光船の運航につきましては,水面から橋までの間隔が狭いこと,船着場の整備,船の旋回場所の確保といった構造上の課題や,これらの施設の整備に要する費用負担や採算性,事業実施主体の課題などがございますが,疏水の魅力をいかした観光振興や地域の活性化につきましては,引き続き地域の活動との連携を図りながら取り組んでまいります。 次に,アニメを活用した地域おこしについてでございます。本市では,日本初の漫画の総合博物館でございます京都国際マンガミュージアムの開設や西日本最大規模の漫画アニメの総合見本市であります京都国際マンガ・アニメフェア(京まふ)の開催などにより,これまでにない新たな層の観光客を取り込むとともに,地元の土産品や伝統産業品とマンガ・アニメとのタイアップ商品の開発,販売を促進しております。また近年,京都を舞台としたアニメ作品の放映が続いており,全国のアニメファンから京都が注目されております。繁議員御指摘のとおり,アニメの舞台となった場所をファンの方々が巡る,いわゆる聖地巡礼は,地元商店の消費や交通機関の利用が拡大するなど,経済的な効果があるだけでなく,その地域の歴史や文化をより深く知っていただく契機となるなど,地域振興にも大きな効果が期待できます。このため本市といたしましては,大学や地元商店街等と連携して,こうした市内各地域の聖地巡礼のマップの作成や市営地下鉄における京都を舞台のアニメ作品のラッピング列車の運行など,アニメファンの誘客や地域活性化の機運を高める取組も進めているところでございます。今後ともこうした地域と連携した取組を推進することにより,全国,海外に向けてPRを強化し,新たな京都ファンづくりに努めてまいります。 私からは以上でございます。以下,関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(橋村芳和) 生田教育長。 〔生田教育長登壇〕 ◎教育長(生田義久) 学校組織の活性化と人材育成についてでございます。今日,本市教育が公教育再生のモデルとして高く評価されておりますのは,学校現場の教員の熱意あふれる実践の成果であり,教員の大量退職,大量採用期を迎え,その優れた実践を次代に引き継ぎ,更に高めるためには,繁議員御指摘のとおり教員の資質向上,とりわけ将来の校長,教頭候補であり,若年教員を牽引する中堅教員,いわゆるミドルリーダーの育成が極めて重要であります。本市では,これまでから中堅教員の心構えや人材育成をテーマとしたミドルリーダー養成講座や学校経営の在り方をグループ協議等で検討する組織マネジメント研修,さらには授業公開や研究協議などにより,授業技術を共有し,共に高まり合うことを目指す若手・中堅教員実践道場を約7割の学校で実施するなど,学校組織の活性化と中堅教員の育成に努めてまいりました。また,来年度新たに各教科等の研究会のリーダーとなる教職員を研究・研修マイスターとして委嘱し,研究会や研修会でより幅広く活躍できる場を設けるとともに,全市から集めた優れた事業映像や研修資料,校内にいながら活用できる総合教材ポータルサイトの運用など,京都ならではのOJTの理論,実践事例をまとめた手引きを各学校に示し,その活用を進めてまいります。今後ともこうした取組を推進し,学校組織の中核となり,保護者,地域からも信頼され,本市教育の将来を担うミドルリーダーの育成に全力を傾けてまいります。以上でございます。 ○議長(橋村芳和) 次に,西村義直議員に発言を許します。西村議員。 〔西村義直議員登壇(拍手)〕 ◆(西村義直議員) 私は,西京区選出の西村義直でございます。自由民主党京都市会議員団を代表し,京都市民の皆様の暮らしや生活の在り方を決めていく重要な予算に当たり,井上議員,繁議員に引き続き下村議員と共に質疑をさせていただきますので,よろしくお願いいたします。 初めに,京都市が目指す高齢者施策についてお伺いします。我が国の平均寿命は,1955年には女性67歳,男性63歳でしたが,50年後の2005年には,女性85歳,男性78歳と,この50年間で15歳以上伸びています。平均寿命が伸びた要因としてよく言われていますのは,第一に,食生活が変化し,栄養バランスが改善してきたこと。第二に,井戸水から水道水へ,また各家庭への冷蔵庫などの普及など衛生環境が向上してきたこと。第三に,国民皆保険制度の導入により,誰もが,いつでも,どこでも良質な医療を平等に受けられるようになったことなどです。これらの要因が相まって,国民の健康保持増進,平均寿命の伸びに大きく寄与してきたものと考えられます。 さて,我が国では,団塊の世代が高齢期に入り,高齢化が急速に進行しています。京都市の場合,総人口は約147万人,これに対して65歳以上の人口は約37万人と,高齢化率は25パーセントを超えています。昨年発表された厚生労働省研究班の調査結果によりますと,高齢者の認知症有病率は15パーセントで,京都市の65歳以上人口を基に試算いたしますと,認知症高齢者数は約5万人と推計されます。また,京都市の65歳以上の要介護認定者数は7万人余りですが,このうち75歳以上の要介護者数は75歳未満の約6倍,つまり個人差はあるものの,75歳を超えると要介護状態になるリスクが激増します。現在,団塊の世代が全て75歳以上となる2025年度を目途として,介護が必要な状態となっても住み慣れた地域でその人らしい暮らしを続けられるよう,医療や介護,その予防のための施策や生活支援が一体的に提供されるよう,地域包括ケアシステムを構築することが急務となっています。京都市の場合,2025年度には,2010年度と比べて総人口は約5万人減少するものの,75歳以上の人口は10万人以上も増加すると予測されております。今後,在宅での生活が困難な重度の要介護認定者数や,認知症高齢者数,独り暮らし高齢者世帯数等は,ますます増加していくものと見込まれています。また,地域社会も変化していき,高齢者の価値観やニーズも一層多様化していくものと見込まれます。そこでお伺いいたします。京都市では京都市版地域包括ケアシステムの構築を目指す第5期京都市民長寿すこやかプランに基づき,認知症をはじめとする要援護高齢者支援,地域包括支援センターの機能強化,特別養護老人ホームや認知症高齢者グループホームをはじめとする介護サービス基盤整備等の取組を推進しておられます。今年度は,第5期プランの中間年度ですが,プランに掲げるこれらの主な施策,事業の達成状況や達成見通しについて見解をお聞かせください。 一方,国では社会保障制度改革国民会議の審議結果を踏まえ,昨年末,社会保障審議会介護保険部会において,次期介護保険制度改正の方向性を示す介護保険制度の見直しに関する意見が取りまとめられました。次期制度改正の大きな柱は,地域包括ケアシステムの構築に向けた地域支援事業の見直しであり,私はその中でも,とりわけ生活支援サービスの充実,強化に注目しています。意見書の中でも,多様な生活支援ニーズに対し,多様なサービスを地域で整備していくことが掲げられていますが,今後も高齢化が一層進む中,高齢者は支えられる側という従来の考え方に捉われず,これまで培ってきた知識や経験を生かして,元気な間は支える側に回っていただくことが,地域社会にとっても,高齢者にとっても,有益な取組になるのではないかと期待しているところです。そこでお伺いします。京都市では,2014年度に策定予定の第6期プランにおいて生活支援サービスの充実,強化を含む次期介護保険制度改正にどのように対応していこうとされているのか,多くの高齢者が気になるところです。現段階での見解をお聞かせください。 次に,救急業務体制の強化について伺います。昨年の救急出動件数8万576件,毎年増え続ける出動件数は,多くの市民から,救急業務に対してこれまで以上に期待され,平成26年度も多くの場面で救急出動されることが見込まれています。京都市消防局の現場への急行時間は平均約6分44秒で,政令市の中でもトップクラスの3番目に早く到着し,適切な処置並びに医療機関へ搬送するという市民生活に欠かすことのできない極めて重要な業務の一つで,平成26年度は市立病院敷地の一部に四条消防出張所の移転整備に伴い,大型救急車の配備や市立病院との連携を強化し,救急業務の拡充が図られます。 以前に,桂坂で子供3人が公園で遊んでいたところ,一人がマムシにかまれた事案が発生し,その子供を乗せた救急車の搬送先は府立医大でした。桂坂から府立医大までの距離を子供がどんな思いで搬送されたかと思うと,言葉では言い表せない恐怖を感じたことと思います。マムシにかまれて,いち早く処置に当たろうということであれば,山間部周辺に処置できる医療施設と血清がなければなりません。市街地でマムシにかまれる確率は低く,むしろ山間部周辺でマムシにかまれる確率は高く,事案発生時における医療施設への搬送と状況確認はどのように進められたのでしょうか。これまでから様々な分野で府市協調が大きく叫ばれ,府域にある医療機関で血清を使用できる取組など緊急を要する場合もあると思います。この度整備される四条消防出張所移転整備による効果を含め,救急業務の強化をどのように図られるのでしょうか。救急業務では,1分1秒が命取りにつながることから,事前に様々な情報を得ておくことはとても大事なことであると思いますが,いかがですか。午前中の質疑として,ここまでの答弁を求めたいと思います。 ○議長(橋村芳和) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 西村義直議員の御質問にお答えいたします。 高齢者施策についてでございます。介護が必要になってもできる限り住み慣れた地域で暮らし続けたいという高齢者の皆様の願いを実現するためには,地域で医療,介護,予防,生活支援サービスが切れ目なく提供される京都市版地域包括ケアシステムの構築が急務であり,第5期長寿すこやかプランの最重要課題に位置付け,来年度も一般会計だけで約500億円もの高齢者福祉予算を投入するなど,これまでから様々な取組を進めております。とりわけ,京都市版地域包括ケアシステムの中核機関であります61箇所全ての地域包括支援センターに一人ずつ専門職員を増員し,地域全体で高齢者を支えるネットワーク構築に取り組んでおります。また,認知症高齢者への支援といたしましては,成年後見支援センターの設置に加えまして地域で築き,つなぎ,支える認知症総合支援事業を開始し,さらに,来年度は京都市版認知症ケアパスの作成や医療と介護の連携を図るモデル事業を拡大してまいります。さらに,特別養護老人ホームをはじめとする介護基盤整備につきましても,来年度末までに整備目標数を達成してまいります。 次に,西村議員御指摘の生活支援サービスの充実強化は介護保険制度改正の柱の一つであり,来年度に策定する第6期プランにおいては,国の制度改正等の動向に留意しつつ,元気な高齢者の皆様がこれまで培ってこられた知識や経験をはじめあらゆる力を結集し,京都ならではの介護予防や生活支援が実施できるよう取り組んでまいります。今後とも京都市版地域包括ケアシステムの構築に向けまして全力で取り組み,年を重ねられましても,京都に住んでいて良かったと心から実感していただけるまちづくりを進めてまいります。 次に,救急業務体制の強化についてでございます。本市の昨年の救急出動件数は8万件を超え,今後も増加が見込まれます。これまで救急業務体制の強化を図るため,この2年間に2隊の救急隊を新設いたしました。今後救急出動の詳細な分析結果を基に,季節や時間帯で救急事故が頻発すると予想される場合,救急隊を臨時に増隊するなど,市民の下にいち早く駆け付ける体制の強化に努めてまいります。また四条消防出張所の移転整備につきましては,京都市立病院の敷地内という立地条件をいかしまして,医師の迅速な現場への出動や医師による救急隊員への研修機能を強化するなど,京都市立病院との連携を深め,大規模災害や集団救急事故へも適切な対応を図ってまいります。 西村議員御指摘の救急事案につきましては,マムシにかまれた場合の血清投与はアレルギー反応の確認等を行ったうえで医師が必要と判断した場合にのみ行われるものであり,当時,京都市立病院は他の患者の措置中であったため,府立病院への救急搬送が最善であると判断されたものであります。また,血清やワクチンの供給体制,毒劇物に対する医療機関ごとの解毒剤の保有状況などにつきましては,京都府と連携を図り,事前に把握するよう努めているところでございます。さらに来年度改修予定の京都府救急医療情報システムにおいて,診療科目,空きベッドの状況,手術の可否等を事前に確認するための医療機関情報に加え,新たに血清等の保有状況などが集約されるよう京都府に申し入れ,調整を図ってまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(橋村芳和) 西村義直議員の質疑の途中ですが,暫時休憩いたします。 〔午前11時50分休憩〕 〔午後1時2分再開〕
    ○議長(橋村芳和) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(橋村芳和) 休憩前の議事を継続し,質疑を続行いたします。 西村義直議員に発言の継続を許します。西村議員。 〔西村義直議員登壇(拍手)〕 ◆(西村義直議員) 私は,西京区選出の西村義直でございます。午前中に引き続き,質疑をさせていただきます。 まず,障害者の美術館利用についてお伺いいたします。京都市美術館では,多くの市民や京都市以外の方々にも京都市美術館にお越しいただくための魅力ある作品展や展示の機会をこれまでに数多く企画され,海外展では,昭和40年に開催されました「ツタンカーメン展」では約107万人,最近では,平成21年に開催された「ルーブル美術館展」に約62万人という多くの来館者を集め,昨年度は開館80周年を迎えました。今後も新しい歴史を刻むとともに再整備事業を進め,基本計画の策定,埋蔵文化財調査などの事業を通して,多くの皆様に来ていただける環境をつくっていかなければなりません。そのためには,まず,京都市美術館の現状と課題を認識し,京都市美術館の目指す方向性に加えて具体的な方策が必要であると考えます。美術館の1年間の利用日は,休日を除く315日前後です。その際,日展が開催される1日間だけですが,視覚障害者のための「手で触れる日展」が開催され,作品出品者の了解を得て作品を手で触れる展示会が開催されますが,この機会に少しでも開催を増やしていただきたいと思います。単に開催するだけではなく作品の出品者と一緒に作品に関しての交流を深められ,こうした時間や機会を増やす取組を通して障害のある方にも来ていただける美術館を目指し,全ての人が楽しめるようにユニバーサルデザインや多言語対応も含めた充実を図る必要があると思いますが,いかがでしょうか。 次に,第二外環状線道路供用開始に伴う第二工区の進捗状況についてお伺いいたします。地元の皆様はじめ多くの関係者の祝福と要望を受けて,昨年の2月,国道9号,京都西立体交差化事業の供用開始が開始され,続いて4月には,第二外環状道路と大山崎大枝線第一工区も供用開始されたことにより,国道9号の渋滞解消や路線バスの定時走行が確保され,物流の効率化やコミュニケーションなどの活性化など,多くの役割と整備効果が大きく取り上げられています。しかしながら,市内中心部からは,まだまだ道路整備や修繕に関する規模や予算など格段に大きな格差があり,本年3月までに整備し,供用開始される小塩山大原野線や,平成27年度以降に中山石見線の整備を図ることで,整備された道路と新しく整備される道路とが拡充され,地域にとって必要な道路として大きく位置付けされてくると思います。第二外環状道路については,大原野,大枝の地権者が先祖代々受け継いだ大切な土地を提供し,地域住民も計画時から供用開始までの長い間,事業に協力してきた結果,完成したものであります。今回は,単に道路ができるだけではなく,道路整備に協力したことにより,大原野灰方地域にこれまでになかった多目的グランドを「にそと」高架下に整備していただくことになり,御利用される皆様は大変心待ちにしています。 第一工区,大枝沓掛から大原野春日地域の整備に加え,第二工区の整備の進捗状況は,現在どのように進められていますか。第二外環状道路と併せて側道となる大山崎大枝線の第一工区及び第二工区が整備されてこそ,京都市と地域住民が望む道路となり,ひいてはこれまで走行することのなかった地域住民待望の市バスが走行し,市内周辺部での活動範囲が更に大きく広がることとなります。第二外環状道路供用開始を祝う模型の記念品にも「人とモノの流れが変わる!」と印字されていて,まさに第二工区が供用開始することで,沿線住民はじめ多くの利用者にとって,効果が実感できる道路へとなっていくものと思います。用地買収に当たっては,住民にも第一工区と第二工区を接続することで,効果の大きさなどを説明されたことと思いますし,さらには京都市全体の都市格が向上するものと確信しておりますので,是非とも第二工区の事業化に向けた見通しを伺いたいと思います。 次に,二条城の活用についてお伺いいたします。世界遺産である二条城が平成26年度から国際会議やコンサート,さらには見本市などに国宝二の丸御殿台所や約1,000人が利用できる庭園の清流園など,屋内,屋外の九つの施設を有料で貸出しすることとなりました。世界遺産・二条城を次代へ保存,継承していくために,二の丸御殿をはじめとする文化財建造物等の本格修理を行うためのもので,これまでの二条城で楽しむ古典芸能に加え,施設の改修や文化の振興としての修理計画は,平成23年度から約20年間で国宝や重要文化財の28棟を改修する計画で,総事業費約100億円,半分の50億円を国の補助を受け,残りの50億円を一口城主などの寄付金で賄う予定ですが,これまでに集まったのは約1億3,537万円です。貸出しすることで得られる収入と,これまでから取り組まれている一口城主との関わりと進め方については,どのように進めていかれるのでしょうか。運営に当たっては,毎年,多くの観光客の方が二条城に訪れるにふさわしい施設の改修や駐車場などの整備を行う必要があり,平成26年度の予算では,政策枠として二条城東側の空間整備を通して二条城全体をどのように活用されるのでしょうか,お答えください。京都市が取り組むMICE振興策の一環とも連携し,二条城の格式や歴史的価値を最大限に活用し,二条城の魅力を国の内外に発信し,国際会議をはじめとするMICEの振興は,京都ブランドや市民生活の活性化,経済波及効果など,社会経済の両面において京都の都市格を向上させるもので,本市の重要な施策でもあり,いつまでも魅力ある二条城であるために,できることを積み上げていかなければなりませんが,いかがでしょうか。 次に,京都市立芸術大学の移転整備に伴う跡地活用について伺います。京都市立芸術大学は,平成24年4月に公立大学法人に移行し,自主的に主体的な運営に積極的に取り組まれ,一方で施設の老朽化や狭あい化,耐震不足等の課題を抱える中,魅力と活力ある大学への変革が求められ,平成25年3月28日に大学法人から本市に対して現状の課題等の解決を図り,更なる発展を目指して下京区の崇仁地域への移転整備を希望する要望書が提出され,検討の結果,崇仁地域への移転整備に取り組むこととされました。 その理由には次のようなものが挙げられました。1点目に,市立芸大の発展に資すると認められることや,崇仁地域は京都の中心部に位置し,企業や他の大学等との連携により京都の地場産業や多くの知恵と融合しながら,将来の発展につながるものと判断され,2点目に,京都全体のまちづくりに貢献すると認められ,移転はJR京都駅の東地域の新たな未来に期待でき,特色あるまちづくりが一層進展し,京都の都市格と魅力の向上に大きな可能性を有していること。3点目に,崇仁地域の将来ビジョンに合致し,平成22年に地域住民によりまとめられた京都市崇仁地区将来ビジョン検討委員会報告書において,創造・交流・賑わいのまちのビジョンの実現が期待できること。4点目に,崇仁地域をはじめ下京区から,市立芸大の移転整備に賛成する要望書が提出され,一方,西京区では,移転は残念とされつつも,移転も視野に今後のまちづくりについて地域のため,芸大のため,京都全体のためにと,将来を見据えた対応をしていただいていること。5点目に,約3万8,000平米の用地確保の見込みができたことです。 移転整備の推進に当たり,整備方針や概算事業費等を含めて,市立芸大移転整備構想を平成26年度中に策定することとし,キャンパスの移転完成には今後10年程度と見込まれるが,事業期間を短縮することや,整備が可能となった箇所から施設を一部整備,開設していく方法などの検討も含めて,効果的かつ効率的な整備の進め方を構想策定の中で検討し,これまでキャンパスのあった西京区・洛西地域の新たな活性化策を地域の皆様と共に考え新たな活性化協議会を設置し,新たな活性化策を検討していくこととなりますが,30年以上の長い期間,子供たちや多くの方々と一緒に取り組んだ芸術を学ぶ機会づくりなど,芸大とのまちづくりをはじめ芸大が果たしてきた役割は,西京区では大変大きな意義を持ち,学生にとって大学の在り方を巡り西京区民は複雑な思いであり,芸大の跡地約7万平米という広大な土地を今後どのように活性化していくのか,また,交通の利便性をどのようにして向上していくのか,文化的な施設,若しくは福祉施設,更には公益性のある跡地活用をしていただき,西京区になくてはならないものにしていただきますよう,是非とも多くの西京区民の思いを反映していただきたいと思い,強く願い,門川市長に伺いたいと思います。 最後に,PTAの今後についてお伺いいたします。少子化に伴う影響は,様々な項目にわたり深刻な社会問題となる場合もあり得ますが,子供たちには少しも影響が出ないようにしていかなければなりません。これまで多くの子供がいて,それに伴い保護者も多くいた時代と違って,年々,子供は減少傾向にあり,学校で行う,地域で行う様々な行事を進めて行く際,PTAの存在は大変大きいものがありますが,京都市において,PTAの現状と課題をどのように捉えておられますか。これまでのPTA活動を衰退させることのないよう広く協力団体とも連携し,京都市の家庭,地域の教育力を高めていかねばなりません。PTAは,保護者が主となって家庭と学校,学校と地域,地域と家庭をつなぐ子供を中心に地域教育や家庭教育を活性化させる役割を担っています。子供たちの確かな学力向上や健全な育成を願うPTA活動の推進に関しては,将来の京都市を担う子供たちの学習意欲を高めるための研修や,携帯電話の普及に伴い,メールやラインの使用を巡って無視やいじめなどで子供たちを被害者にも加害者にさせないといった内容の講演に出向くなどの研修や取組を通じて,学校教育の現場でいかしていくことが大切です。こうした地域の宝である子供たちのために行う数多くの取組に伴うPTAの活動を多様な時代背景に合ったPTA活動とするためには,今後どのような支援や取組が必要かを伺いたいと思います。 以上で私の質疑を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(橋村芳和) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 西村義直議員の御質問にお答えいたします。 まず,京都市美術館についてでございます。京都市美術館は,昭和天皇御即位の大礼を記念して昭和8年に開設され,京都の,そして日本の文化芸術を牽引してまいりました。本年度は,開館80周年を契機に専門家や市民の方々の参画を得て将来構想検討委員会を設置し,目指すべき方向性や具体的方策など様々な観点から検討を進めているところであり,先般,展覧会やコレクションの充実,将来的な文化財指定を視野に入れた本館の再整備や新たな展示スペースの創設,市民のためのワークショップルームやミュージアムショップ,カフェの設置等の方策を求め,現在パブリックコメントを実施しております。西村議員御指摘のユニバーサルデザインや多言語対応の推進など,来館された方全ての方に楽しんでいただくための取組につきましても,本年度中に策定する将来構想に盛り込み,今後ソフト,ハード両面においてその充実を図ってまいります。また,障害のある方に対する取組につきましては,展覧会の無料化や京都在住の作家や京都府視覚障害者協会の協力による視覚障害者のための手で触れる日展などを実施しておりますが,将来構想を具体化していく中で,関係団体等とも連携しながらその拡充を検討してまいります。今後とも我が国の美術界をリードするとともに,国内外を問わず多くの人々を魅了し,文化首都・京都の中核として愛され続ける美術館を目指して全力で取り組んでまいります。 次に,京都市立芸術大学でございますが,昨年3月に大学の総意による移転の要望があったことを踏まえ,優れた文化芸術の創造発信拠点として更なる発展を目指すとともに,京都駅の東に世界の文化首都・京都の新たなシンボルゾーンを創造し,京都の都市格と魅力の向上を図るため,崇仁地域への移転整備を決断いたしました。こうして芸術大学が大きな飛躍のステップを踏み出せますのも,西京区で30年以上にわたり洛西地域をはじめ地元の皆様に支えられ,育んできていただいたからこそであり,私はそのことを深い感謝の念と共に心に刻んでおります。もとより芸術大学の移転は,京都のまち全体の発展に資するものでなければならず,洛西地域をはじめ西京区についても芸大移転を機に改めて地域の課題を見詰め直し,住民の皆様と共に地域の未来を切り開いていくことが重要と考えております。このため来年度から移転整備構想の策定と合わせまして,西京区洛西地域において将来の芸大移転を見据えた地域の新たな活性化策を地域の皆様を中心とする協議会を設置して,共に考え実践する取組を進めることといたしております。 また芸大の跡地の活用につきましては,豊かな自然や京都大学桂キャンパス,桂イノべーションパークなどに加え,昨年の第二外環状道路の開通で地域のポテンシャルがますます高まっている中,西京区の将来の新たな活力を生む貴重な財産と認識しており,その活用策に当たっては,地域の交通アクセスの向上策等と共に地域の方々とも議論を重ね,思いを十分に反映しながらしっかりと練り上げ,西京区の更なる発展につなげてまいります。 私からは以上でございます。以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(橋村芳和) 藤田副市長。 〔藤田副市長登壇〕 ◎副市長(藤田裕之) 二条城の魅力をいかした取組についてでございます。本年3月から西村義直議員の御質疑のとおり,二条城の二の丸御殿台所,清流園などを国際会議,各種イベント,企業の展示会等に使っていただく取組として世界遺産・二条城MICEプランを実施することとしており,その使用料を本格修理の財源に充当してまいります。その際には二条城を利用された方々に歴史の重みを存分に体感していただくとともに,一口城主募金への支援の拡大につながるよう努めてまいります。また二条城の玄関口であります東側空間につきましては,世界遺産にふさわしい景観への改善と来場者,歩行者,自転車利用者等と車両との安全性,快適性の確保を目的に,エントランス広場の確保や駐車スペースの適正な配置に加え,敷地全体の有効活用につきましても検討し,平成28年秋を目途に整備を進めてまいります。 さらに,京都市民の皆様に世界遺産二条城に対しこれまで以上に愛着を持っていただき,より望ましい姿で次代に保存,継承する必要を理解していただくため,昨年11月から市内小中学生の入場料を免除することとしたほか,12月には地元の中京区民を対象に区民デーを開催し,無料招待を行い,来年度には全区を対象に順次区民デーを開催してまいります。今後ともこうした地道な取組を積み上げていくとともに,歴史,文化,観光,MICEといった幅広い観点から生きた文化財として二条城の魅力を,京都市民はもとより国内外に広く発信してまいります。以上でございます。 ○議長(橋村芳和) 河嶋建設局長。 〔河嶋建設局長登壇〕 ◎建設局長(河嶋敏郎) 大山崎大枝線第二工区についてでございます。西村議員御案内のとおり,地域の皆様の御協力により昨年2月に国道9号千代原口交差点の立体交差化事業が完成するとともに,昨年4月には京都第二外環状道路と大山崎大枝線第一工区が開通し,国道9号や一般道路の交通渋滞が大幅に改善されました。また洛西ニュータウンと大原野インターチェンジを結ぶ小塩山大原野線が本年3月に開通する予定であり,現在全力を挙げて取り組んでいる中山石見線,伏見向日町線が完成すれば本市西部地域の利便性が大きく向上するものと考えております。 一方,本市では東日本大震災を踏まえ,災害時の緊急輸送ルートのうち特に重要な路線上にある橋りょうの耐震補強をはじめ防災・減災対策に重点的にスピード感をもって取り組んでおります。これら防災・減災対策には財源を集中的に投入する必要があることから,道路整備事業の見直しとして大山崎大枝線第二工区を含め新規事業の見送りや事業スケジュールの平準化を全市的に実施しているところです。当該第二工区も含めた今後の道路整備の在り方については,全市的な交通体系や幹線道路ネットワークの形成,また本市の財政状況等を勘案し,総合的に検討してまいります。以上でございます。 ○議長(橋村芳和) 生田教育長。 〔生田教育長登壇〕 ◎教育長(生田義久) PTA活動についてでございます。西村義直議員御指摘のとおり,少子化の進行と共に全国的にも役員のなり手不足が課題となっておりますが,本市のPTAは学校と家庭,地域をつなぐかなめとして子供たちを真ん中に地道な活動を進める中で,子供を共に育む京都市民憲章を積極的に実践するなど,地域ぐるみで進める本市教育の原動力となっていただいております。本市では,これまでから各学校のPTA活動の将来の牽引役となる方々の交流と研さんの場としてPTA指導者研修事業や広報活動を学ぶPTA活動実践講座等を実施しており,今後,行政区ごとの支部活動の活性化を図るとともに,元会長なども多く参画し,父親の子育て参加と地域のボランティア活動を展開しているおやじの会や地域諸団体との交流・連携を通じ,子供を育む活動に積極的に取り組んでいただける次代のPTA活動のリーダーを輩出できるよう取組を進めてまいります。 また,PTAハンドブックやPTA新聞の全保護者への配布,本市独自の各学校のPTAホームページの活用,4,000名の会員が交流を深めるPTAフェスティバル等様々な機会を通じてPTA活動への理解を深め,一層の参画をいただけるよう取り組んでまいります。今後とも一人でも多くの方が参画したいと思える魅力あるPTA活動となるよう支援を進め,学校のよき応援団であり,地域諸活動の担い手でもあるPTAの更なる活性化に努めてまいります。以上でございます。 ○議長(橋村芳和) 次に,下村あきら議員に発言を許します。 〔下村あきら議員登壇(拍手)〕 ◆(下村あきら議員) 私は,下京区選出の下村あきらでございます。井上与一郎議員,繁隆夫議員,西村義直議員に引き続き,自由民主党京都市会議員団を代表して質疑をさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。 初めに,長年にわたり地域防災力の中核として日夜献身的な活動をされている消防団の活性化対策について2点お伺いします。 まず,消防団の報酬制度についてお伺いをいたします。近年,東日本大震災という未曾有の大震災をはじめ,地震,局地的な豪雨などによる災害が各地で頻発し,住民の生命,身体及び財産を災害から守る地域防災力の重要性が増大している一方,少子高齢化の進展などにより防災活動の担い手の確保が困難となっております。このような背景を踏まえ,国では,消防団を中核とした地域防災力の充実強化を図り,住民の安全の確保に資することを目的として消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律が,自民党から国会に提案され,全会一致で可決。昨年12月に公布されたところであります。この法律において,消防団は「将来にわたり地域防災力の中核として欠くことのできない,代替性のない存在」と規定されております。京都市の消防団は,昭和23年の発足以来,ゆるぎない地域愛護の精神により,市民の安心安全の確保のため昼夜を分かたず防火防災活動に取り組んでこられたところであり,地域の防災リーダーとして欠くことのできない存在であり続けてきました。こうした長きにわたる消防団員の方々の御尽力に深く敬意を表したいと思います。 この度の法律の制定で様々な消防団の強化策が規定されている中で,法律のモデルとなるような取組を行ってきた京都市の消防団でありますが,その点を踏まえたうえで消防団員の処遇についてお尋ねします。本市の平成25年度の消防団の関連予算の額は6億5,600万円と,他の政令指定都市平均4億6,500万円よりも多く,政令指定都市の中で上から4番目となっております。団員手当の予算額を見ても,本市は2億3,300万円で,団員一人当たりで見ると5万4,000円,他の政令指定都市の平均は4万円であります。報酬・手当の合計額でも,本市の2億3,300万円は,他の政令指定都市の平均2億1,000万円を上回っております。また,人口1万人当たりの消防団員数も29.4人と,他の政令指定都市の平均23.4人と比べても多くなっています。このうち消防団員の報酬については,京都市では消防団員お一人お一人が「京都市の消防団は地域愛護の精神に基づいて活動している」との高い志から,報酬は必要ないとされ,このため実費弁償の手当を支給するという形がとられてきた経過があり,自民党議員団としても,報酬制度がなくても京都市独自の実態に即したきめ細かい配慮がされており,本市の消防団の装備や処遇が他都市に引けを取らないものであることは十分承知しており,実費弁償の仕組みに問題があったとは考えておりません。平成25年4月1日現在,全国の消防団員の数は86万9,000人で,減少が続くとはいえ,16万人の消防職員の5.4倍の人員を有しております。この消防団の要員動員力と,管轄地域内に居住若しくは勤務している地域密着性,そして常に教育と訓練を受けて,災害に対応する技術,知識を身に付けている即時対応力がいわゆる消防団の3大特性とよく言われています。 折しも,本年度は消防団の前身となる消防組発足から120年目という記念すべき節目の年に当たります。現在の実費弁償制度に問題があったとは考えておりませんが,この度の法律の制定,消防団員の教育訓練基準の大幅な改正,26年ぶりとなる消防団の装備の基準の一新など,国において消防団の抜本的な充実強化に踏み出されたこの機会を捉え,本市においても,消防団の方々の「地域愛護の精神に基づいて活動している」との高い志を基本とした報酬制度の導入,消防団に担っていただいている大きな役割と大変な御尽力に報いるための更なる支援の拡充・拡大を検討する重要な時期に来ているのではないでしょうか。御所見をお伺いいたします。 次に,消防団充実のための100人委員会U-35についてお伺いいたします。先ほど紹介させていただきました消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律において,消防団の強化として消防団への加入の促進や教育訓練の改善などといった事項が記載されております。本市においては,この法律が制定される前から,消防団の更なる充実強化のため,消防団100人委員会U-35を新たに立ち上げられました。京都市交通局では,1日5万人増客という高い目標達成の一つとして若手職員増客チームを立ち上げられて,地下鉄・市バスの増客に大きく貢献されておられます。消防団100人委員会においても,交通局の若手職員増客チームと同様,消防団の充実強化に大きく寄与されることを期待します。本委員会では今年度,予定どおり既に当該会議を3回実施され,35歳以下の消防団員249名の参加があり,参加された多くの若手団員が,これまでにない交流の機会で意見交換できたことを高く評価されたとのことであります。また,新入団員の確保,活動環境の改善など,若者ならではの多くの意見が出されたとのことであり,私としても,この消防団100人委員会U-35の事業を高く評価しております。出された意見の中には,消防団への加入促進策として非常に有効と思われる意見もあったと伺っておりますが,どのようなアイデアが提案されたのでしょうか。また消防局として,それらのアイデアも踏まえて,消防団の充実強化のため今後どのような方法で実践しようとされているのかお伺いいたします。 さて,昨年の11月市会において,消防団員に対する救命胴衣の追加配備が補正予算で計上され,議決されたところであります。消防局の説明では,市内で50センチメートル以上の浸水深が予測される地域を管轄する146の消防分団及び11の消防団本部の団員に行き渡るよう配備するとのことでありました。私は,このときの審議において,この配分方法でいけば,隣接する消防分団において配備される分団とされない分団が生ずること,また火災はもとより水災発生時には,消防団活動は管轄区域内にとどまらず,被害が大きい地域に,他の地域の分団が応援に行くこともあることから,浸水深50センチ以上に該当する分団だけでなく,全分団にタイミングを失することなく配備してもらうよう要望を行ったところであります。この2月市会で,平成26年度の予算案が提案されていますが,消防局予算において,救命胴衣の全分団への配備の経費を計上してもらっていることは,消防団員の皆様にとっても非常に心強いものであると考えます。引き続き時宜を得た消防団装備の充実に努めていただくようよろしくお願いいたします。 次に,公園などの公共用地を活用した浸水対策についてお伺いします。昨年の台風第18号や一昨年の宇治市を襲った京都府南部豪雨に見られるような異常気象が頻繁に起こるようになってきました。これらは地球温暖化の影響であり,昨年発表された気候変動に関する政府間パネルIPCC第5次評価報告書においても「世界平均気温の上昇に伴って,中緯度の大陸のほとんどと湿潤な熱帯地域において,今世紀末までに極端な降水がより強く,頻繁となる可能性が非常に高い」と報告されています。台風第18号の被害では,小栗栖排水機場によるもの以外でも,山科区の安祥寺川の氾濫により地下鉄御陵駅に雨水が流れ込むなどして3億円の被害が発生しました。こうした記録的な集中豪雨により,河川の氾濫や内水氾濫が発生することによる床下・床上浸水被害を未然に防ぐことが喫緊の課題であります。 昨年,京都市は過去に浸水履歴のある16の一級河川及び普通河川のうち,未対策の8普通河川を対象とする整備計画を発表されましたが,市街中心部を流れる普通河川は川幅を拡幅しようにも民家が連なっており,そう簡単に用地買収が進むとは思えません。市内を流れる国や府が管理する一級河川についても同様です。河川改修は下流から行うことが基本であると聞いておりますが,そのために何十年も掛かっていては,その間にまた大きな集中豪雨が発生しないとも限りません。早期に成果を出すには,川幅を拡幅する以外の工法も検討する必要があるのではないでしょうか。その対策としては,川幅が狭く水があふれている上流においてバイパス方式で別の場所に排水する方法と,一度に下流に雨水が流れ込まないように一時的に貯留する方法があると聞いています。バイパス方式も貯留方式も新たに土地を買収すると,川を拡幅するのと同じぐらいの時間と経費が掛かることが予想されますが,道路,公園,グランドなど京都市が保有する土地を活用すれば,格段に速く事業が進むのではないでしょうか。バイパス方式やバイパス管で貯留する方式は,地下にトンネルを掘るように工事をするため,放流先が遠ければ工事費がかさみますが,公園の地下やグランド上に一時的に水をためる方式は,浸水履歴のある地域で条件が合えば低コストで,今後,京都市としても積極的に推進していく価値があるのではないでしょうか。 まだ,都市化が進行していない時代は,水田が川からあふれた水をためて大きな浸水被害を軽減する役目を果たしていました。古くは川に二重の堤防を築いた武田信玄の霞堤のようなものもあります。今では水田は宅地化され,多くの地域で遊水地にできる場所は失われてしまいましたが,我々の世代が持つ知恵と技術を駆使すれば,狭い場所でも立体的に土地利用をすることで,現代の霞堤を造ることができるのではないかと考えます。公園の地下に雨水貯留施設を設置するのには何か制限などがあるのでしょうか。土地の有効利用の観点からも,京都市の所有する土地を立体的に利用することは,今後ますます重要になってくると思われます。過去に浸水履歴のある地域での今後の浸水対策について,早期に効果を発現するための工夫などがありましたら整備の方向性と併せてお答えください。 次に,空き家対策の推進についてお伺いします。今般京都市では,京都市空き家の活用,適正管理等に関する条例,通称,空き家条例が制定され,本年4月に施行されることとなっております。空き家問題につきましては全国的にも社会問題化しております。そのため他都市においても条例化が進むなど,各地で対策が講じられているところです。他都市の対策は,管理不全となったものに除却を促すことを主眼としていますが,京都市では,除却ばかりが進むことにより貴重な景観や町並みが損なわれることを懸念し,京都ならではの歴史的に培われてきた地域コミュニティの強さをいかしながら,空き家をまちづくりの資源として活用することとし,条例名も,特に活用を前面に打ち出したものとなっているところです。国の行った調査によりますと,京都市では,空き家率は全国の平均値を上回り,特に,流通せず活用の予定のない空き家が大都市の中ではかなり多いこと,将来の空き家化につながってしまう可能性の高い高齢者の一人世帯が多いことなどが統計上示されているところであり,条例では,市民の皆さんにも積極的に空き家を活用していただくことや,不動産事業者などにもしっかりと空き家を流通させるということが求められております。 このような状況を踏まえて,管理不全対策はもちろんのこと,空き家の予防や活用,跡地利用まで,総合的な視点から,行政がしっかりとその仕組みを作ることが求められると考えます。そのためには,市民からの問合せや通報にもきっちりと対応できる庁内の体制を整えること,また,活用できる空き家の発掘から流通まで,不動産事業者などとも連携した体制を構築する必要があると考えます。さらに,空き家を所有されている市民には様々な理由があると考えます。空き家のままにしないことを求めていくためには,活用に向けたインセンティブも必要であると考えますが,いかがでしょうか。これらに対する具体的な取組,考え方についてお答えください。空き家を流通させ活用してもらう京都市の総合的な空き家対策を是非とも進めていっていただきたいと考えております。 ところで,平成23年3月の東日本大震災時の被災者支援としての住宅の提供では,市営住宅をはじめ,市長の呼び掛けに応じて多くの市民から空き家が提供され,多くの被災者が京都市に避難されたことは記憶に新しいところです。京都市では,この経験を生かして,平成24年1月から本市内での火災などの罹災者に対しても生活の再建を支援するため,市営住宅を短期間,無償で提供する制度が実施され,これまでに約20戸の住宅が提供されたと伺いました。火災などの罹災者への住まいの提供は,日常的にしっかり状況が把握されている市営住宅だからこそ実現できたものでありますが,しかしながら,転居を余儀なくされる罹災者にとっては,それまでの生活圏,例えば通院先や通学先を変更しなければならない,あるいはとても遠距離になってしまうことは大きな負担となるものです。罹災者にとっては大変ありがたい制度ではありますが,これら一つ一つの課題があるのも事実です。民間住宅ではなかなか難しいこととは思いますが,この空き家対策により不動産事業者と行政の情報ネットワークが構築されれば,罹災者への民間住宅の無償提供など,今少し,罹災者に寄り添った更なる支援も可能となると考えますが,いかがでしょうか。併せて御答弁願います。 次の質問に移ります。京都観光の一層の飛躍に向けたリニア誘致の取組についてお伺いします。京都市は5,000万人感動都市を目指している世界でも有数の観光都市でありますが,更なる飛躍に向けて大きなチャンスが訪れました。それは,日本人の伝統的な食文化・和食のユネスコ無形文化遺産への登録であり,東京オリンピック・パラリンピックの開催であります。食文化が文化遺産に登録されているフランスでは,国の総人口6,600万人を上回る8,200万人もの観光客が海外から訪れ,観光大国としての地位を確立しています。また,これまでも多くのオリンピック開催国が,開催地決定を契機に,観光客数を大きく伸ばしています。是非とも,この機を逃さず大胆にチャレンジして,京都が観光立国日本をしっかりと引っ張っていく取組を期待いたします。 しかし,観光・京都の将来はバラ色のことばかりではありません。課題もあります。それは,国内外から京都へのアクセスの問題です。我が国の大動脈となるリニア中央新幹線の整備においては,今の国の計画のままでは京都を通らないルートで整備されてしまいます。観光を成長戦略の一つと位置付け,国家戦略として海外からの観光客誘致を推し進めていくうえで,京都にリニアをつなげることは非常に重要な政策であります。この間,国への要望や広報活動に取り組まれ,マスコミにも京都の主張が取り上げられるようにはなってまいりました。しかし,既に来年度には東京~名古屋間が着工となり,大阪までの同時開業をにらめば,残された期間は余りありません。残念ながら,誘致活動としては出遅れていると言わざるを得ないのではないでしょうか。時速500キロのリニアに負けないくらいの超スピード感を持って,しっかりと取り組んでいくことが重要であります。 こうした中,先月17日には,京都府,経済界と共にオール京都で,リニア誘致に取り組む決起会が開催され,300人以上の参加者が集まり,京都の熱意を強くアピールいたしました。この決起会を新たなスタートラインとして,リニア誘致の活動を一層盛り上げ,大きなうねりを起こしていくことが重要であります。経済界はもちろん,文化,学術をはじめとする幅広い市民,団体との連携の下で誘致活動を展開するためにも,市民から見ても分かりやすく,全局,区が一丸となって取り組む推進体制を整備することが重要ではないかと考えますが,いかがですか。御所見をお伺いいたします。 次に,新たな京都市エネルギー政策の推進についてお伺いします。未曾有の被害をもたらした東日本大震災が発生し,はや3年を迎えようとしております。今日もなお不自由な生活を強いられておられる被災者の皆様の姿が報道されない日はありません。我々は,この東日本大震災から,災害対策という視点のみならず,環境・エネルギーの問題,地域のコミュニティ,日本の経済活動の在り方など多くのことを気付かされ,そして学びました。とりわけ,エネルギーは人間のあらゆる活動を支える基盤であり,安全性を前提条件としたうえで,安定的で経済負担が少なく,更には環境負荷を可能な限り抑制したエネルギー供給体制の実現は,我が国が更なる発展を遂げていくためには不可欠であります。現在,国においては新たなエネルギー基本計画の策定に取り組んでいる中,京都市では,市民に最も近い基礎自治体として,市が推進すべきエネルギー政策の方向性を示す京都市エネルギー政策推進のための戦略が昨年12月に策定されました。東日本大震災,また福島第一原発事故の大災害から学んだ教訓を風化させることなく,京都ならではの強みや地域資源をいかしたエネルギー施策推進の方向性を示し,挑戦的な目標を掲げたことは,誠に時宜にかなったものであります。 我が自由民主党京都市会議員団では,平成26年度予算編成に当たって京都市予算及び今後の市政に対する要望を行いました。この中でエネルギー関連の要望として,これまでから再生可能エネルギーの普及拡大や環境に優しいライフスタイルへの転換を積極的に進めることに加え,新たに2点,まず一つは「京都議定書誕生の地として我が京都市から全国と世界に向け,地域自立分散型再生可能エネルギーの新たな可能性分野を広げることを視野に入れ,検討すること」と,二つ目に「省エネの普及拡大のため,住宅の改修時の断熱工事や太陽熱をはじめとする熱の再利用に対する助成を積極的に行うこと」を要望いたしました。その結果,既存住宅の省エネリフォーム等支援事業として,新規で1億4,200万円を計上されたほか,太陽光発電システムの設置助成制度を拡充されるなど,現状の課題にスピード感を持って対応され,大いに評価をしております。言うまでもなく,この戦略は,将来の市民生活に責任の持てるエネルギー戦略として推進していく必要があります。そのためには,市役所の率先した実行取組はもとより戦略に示されたリーディングプロジェクトを着実に推進しなければなりません。世界を牽引する環境先進都市・京都として,持続可能なエネルギー社会を目指し,今後具体的にどのように取り組まれていく所存か,お伺いいたします。 最後に,下京区のこれからのまちづくりについて要望いたします。今まさに下京区のまちづくりに関わる新たな動きであり,ひいては下京区だけにとどまらず京都全体のまちのにぎわい,魅力,活力を高めると期待される新しい動きについて,私の思いと要望を申し上げたいと思います。下京区は,古くから卸売業や小売業を中心に発展し,多くの商業施設が集まり,多様な人々や物が交流し,様々な文化芸術を育みつつ,にぎわいと活気に満ちた地域として発展してきました。今も先端産業を育む一方,多くの伝統産業が息づき,さらに交通の要所・京都駅を擁し,市民はもとより国内外から人々が集まり,交流し続ける京都の玄関口でもあります。しかし,今日,住民の高齢化が進むとともに,地域の産業や商業を取り巻く環境もまだまだ厳しく,多くの課題に直面しているのも事実です。そうした中,求められているのは,現状の活力の低下を防ぎ,今の状態を維持・存続しようとする守りのまちづくりではなく,新たな活力を注入し,更なるにぎわいを創造する攻めのまちづくりであります。そして,まさに現在,京都市によるそうした攻めのまちづくりの動きが,下京区において展開されつつあると受け止めています。 その一つが,下京区の西の方面における下京区西部エリアの活性化を目指す取組であります。梅小路公園とその界わいにおいて平成24年開業の京都水族館,来月8日開園予定のすざくゆめひろば,市電ひろば,また平成28年春開業予定の京都鉄道博物館など,梅小路公園の拡張整備が進む中,こうした動きを契機に,京都市において,この梅小路を中心に中央卸売市場やリサーチパークなどを含めた下京区西部エリア全体の活性化を図るため,平成24年7月に産・学・公・地域連携による検討会議を設置し,これまで様々な検討・取組が進められています。来年度は将来構想の策定に取り組まれるとのことであり,引き続き具体的な活力・にぎわい・魅力,これらの向上につなげていただくようお願いいたします。 一方,下京区の東の地域におけるもう一つの新たな活性化の動きが,本年1月に門川市長が発表されました京都市立芸術大学の崇仁地域への移転整備であります。昨年3月に芸大から京都市に要望がなされたのを受けて,6月に崇仁自治連合会及び崇仁まちづくり推進委員会から歓迎する要望書が提出され,昨年の12月には,下京区の全23学区連名で賛同の要望書が出されております。これまでの長い歴史の中で,先人たちの様々な努力が重ねられながらもなかなか進まなかった,京都駅の東側のまちづくりが大きく進展する契機になると,多くの方々が期待を寄せています。これらの取組について,まさに市長がおっしゃるように,京都の中心部の大胆かつ挑戦的なまちづくりが急速に動き出すこの機会を利用して,京都全体のまちづくりが大きく飛躍・発展する契機となるよう,また先ほど西村義直議員の質問にもありましたが,芸大の現在地の西京区のまちづくりとも合わせて,しっかりと押し進めていただくことを強く強く要望しておきます。 以上,消防団の活性化対策,空き家対策の推進と火災など罹災者の一時居住場所の拡充,京都観光の一層の飛躍に向けたリニア誘致の取組についてなど,6項目の質問と下京区のまちづくり推進に対する一つの要望をいたしました。市長は,今市会,冒頭の来年度予算案の提案説明において,京都市民の地域力,人間力の奥深さ,また力強さをたたえられるとともに,こうした京都力の支えに,幅広い市民団体や市民としっかりと手を携えて,市民生活の安心安全をしっかり守り,そして20年後,50年後に「失われた20年」からの脱却が「あのとき京都から始まった」「京都から新しい日本の未来が開けた」「そして日本に京都があって良かった」と語られるよう,全力を尽くしていかれる旨を表明されました。その力強い決意に大いに期待をいたしますとともに,先ほどの質問に対する前向きの御答弁を求めまして,私の質問といたします。 御清聴,誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(橋村芳和) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 下村あきら議員の御質問にお答えいたします。 まず,消防団の処遇,報酬制度についてでございます。東日本大震災での献身的な活動を受け,消防団の重要性が全国的に再認識され,国では消防団の在り方について様々な議論がなされてまいりました。その結果,昨年12月に制定された消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律において,消防団員の確保,装備,教育訓練の充実に加え,報酬制度についても法制化されたところでございます。また,消防団員の安全確保,活動能力の向上を図るため,国の定める消防団装備の基準が大幅に改正され,今後同様の趣旨で教育訓練の基準が見直されることとなっております。昨年9月の台風第18号におきまして,本市が甚大な被害を生じたにもかかわらず一人の犠牲者も発生しなかったことは,自治会,自主防災会,水防団をはじめとする本市の地域力,市民力が発揮された成果であり,特に消防団員が,身の危険も顧みず消防活動に従事された結果であると改めて深く感謝申し上げます。消防団は京都市民の誇りであり,京都の宝であると改めて認識いたしております。 本市におきましては,全ての消防分団に無線,AED,パソコン及びインターネット環境を既に装備しており,さらに台風第18号での活動を踏まえまして,全ての消防団員に救命胴衣を配布することなど,消防団の充実強化には時機を逸することなく取り組んでまいりました。消防団の処遇,報酬は報酬制度につきましては,下村議員御指摘のとおり,京都市としては活動に対する実費弁償として手当を支給してきたところでございます。今後,本市ならではの歴史的経緯や利点を踏まえつつ,消防団の御意見をお聞きし,それらを反映させながら手当全般を見直す中で,報酬制度の導入に向けて検討を進めてまいります。 次に,空き家対策の推進についてでございます。京都のまちの再生のためには,空き家対策と密集市街地対策,細街路,路地対策を融合させていくことが必要不可欠であり,来年度からこれらを総合的に本格的に展開してまいります。空き家対策につきましては,全国にも例のない京都ならではの空き家の活用,適正管理等に関する条例を御制定いただき,また安心安全のまちづくりや地域の活性化等を目的に空き家の活用を中心として予防や適正管理,跡地の活用までを総合的に進めてまいります。これらの対策を成功させるためには,京都市の取組だけではなく,民間事業者との連携の強化,さらに京都ならではの地域力の発揮がかなめとなります。まず,京都市の体制ですが,本庁に新たに専門部署を設置するとともに区役所や関係部署間の連携をこれまで以上に深めるなど全庁体制をしっかりと整えてまいります。また,空き家所有者の方々が空き家活用に向け安心感,信頼感を持って御相談いただけるよう各種の事業者,専門家の方々との連携の下,地域の空き家相談員を設置するなど総合的なコンサルティング体制を構築してまいります。さらに京都ならではの地域力をいかした地域連携型空き家流通促進事業を5年間で100地区を目標として実施してまいります。 加えて10年間で1万戸の空き家を流通,活用させるという目標に向け,予防や活用,適正管理等に向けて所有者の方々を力強く後押しするため,専門家の派遣や空き家の活用に対する助成等の支援制度を創設いたします。下村議員御提案の火災等の被災者の方々に対する民間住宅の提供につきましても,空き家対策を通して今後更に深まる不動産事業者とのネットワークをいかし,より被災者のニーズに寄り添った対応を検討してまいります。京都のまち再生なくして京都の未来はない。このような思いの下,最重要施策の一つである空き家対策を市民の皆様,事業者の皆様方と一丸となって取り組んでまいります。 次に,リニア中央新幹線についてであります。1,000年を超えて日本文化の中心であり精神文化の拠点である京都が,新しい国土軸となるリニアのルートから外れることは,我が国にとって大きな損失であります。本年1月に京都府リニア中央新幹線推進協議会が開催した決起集会におきまして,東京一極集中を打破し,日本の未来を切り開くためにも,大阪までの全線同時開業,関西国際空港までの延伸,そして京都駅ルートの実現に向け取り組んでいこうという熱い思いと使命感を共有することができました。京都駅は,1日63万人の乗降客数を誇り,東海道新幹線,山陰線,湖西線,近鉄等と,また地下鉄等と接続する一大結節点として機能いたしております。京都駅ルートを実現することで,西日本の都市が既存の鉄道網を通じてリニアと結ばれ,関西全体の観発振興をはじめあらゆる分野からの大きな効果がもたらされるものでございます。 現在,現行ルートと比較した需要予測や経済波及効果等の客観的な数値を専門家の意見を基にまとめており,調査結果につきましては,来月上旬に市民の皆様にお示ししてまいります。本来,経済効果等につきましては,国がルートを決定する前に調査すべきことが全国新幹線鉄道整備法において定められております。しかし,41年前にリニアを前提としない第二東海道新幹線としての検証しか行われておらず,社会情勢の変化やリニアを前提とした今日的な検証が必要であることを道理を尽くして訴えてまいります。下村議員御提案のとおり,全庁一丸となった推進体制の整備は,大変重要であると認識いたしており,そのため年度内にリニア京都誘致推進本部を立ち上げるとともに,来年度には,誘致推進のための専門部署を設置し体制を強化するなど,市役所の持てる全ての力を結集し,市民の皆様,京都府,経済界をはじめとするオール京都での活動を加速させてまいります。 次に,エネルギー政策についてでございます。本市においては,昨年12月に,市民力・地域力などの京都の強みや地域資源をいかし,市民,事業者,行政など地域のあらゆる主体がそれぞれ役割を十分に果たす中で,一丸となって共に汗する共汗で取り組む京都市エネルギー政策推進のための戦略を策定いたしました。この戦略では次の4点,1点目は,徹底的な省エネルギーの推進,2点目は,再生可能エネルギーの飛躍的な普及拡大,3点目は,京都地域全体でエネルギーを賢く使うスマートシティの構築,そして4点目は,エネルギー・環境関連産業の育成・振興を図るグリーンイノベーションの創出を施策推進の柱としております。こうした取組を推進することにより,市民生活の質の維持向上につながる原子力発電に依存しない持続可能なエネルギー社会を目指してまいります。自民党議員団から御提案の既存住宅の省エネ改修への支援や自立分散型エネルギーの新たな可能性の拡大などにつきましては,戦略に掲げるリーディングプロジエクトの中にしっかりと位置付けたところであり,全庁を挙げて着実に推進してまいります。 来年度予算案につきましては,本戦略の力強いスタートを切る予算として,具体的には既存住宅の断熱工事など,省エネ改修に対する助成制度を新たに創設するとともに,省エネ・耐震改修に併せて太陽光発電や太陽熱利用設備を設置する場合に助成額を増額するなど,徹底した省エネと再生可能エネルギーの普及拡大に向けた取組を強化してまいります。さらに,京都の地域資源をいかした森林や廃棄物などのバイオマスをはじめとした多様な再生可能エネルギーの導入を促進するとともに,市内の全ての道路照明灯を3年間でLED照明に切り替える取組も進めてまいります。今後とも,京都議定書誕生の地としての誇りと使命感を,市民事業者の多くの皆様と共有し,新たに整備する市役所庁舎におきましても,先進の環境・エネルギー技術を徹底して取り入れるなど,全国のモデルとなるエネルギー政策を積極的に推進してまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(橋村芳和) 平口副市長。 〔平口副市長登壇〕 ◎副市長(平口愛一郎) 公園等の公共用地を活用した浸水対策についてでございます。浸水被害の防止対策は喫緊の課題でありますが,下村議員御指摘のとおり,河川改修には用地買収が必要となるなど,事業が長期に及ぶため道路や学校のグラウンドの地下への貯留施設の設置など,早期に効果が見込める浸水対策にも取り組んでいるところです。公園への雨水貯留施設の設置につきましては,都市公園法の規定で公園面積が2ヘクタール以上であることなどが条件となっていますが,地上を公園施設,地下を別の用途に使用できる立体都市公園制度を活用することにより,2ヘクタール未満であっても公園の地下に施設を設置することが可能となります。現在,本市ではこの立体都市公園制度を活用し,左京区の第二太田川において,隣接する一乗寺公園におおむね10年に一度の大雨に耐えられるよう,雨水貯留施設の整備を進めているところです。今後も浸水被害が発生したことがある地域において,こうした制度を活用するなどの工夫を行いながら,市民の皆様の命と暮らしを守るため効果的な浸水対策を実施してまいります。以上です。 ○議長(橋村芳和) 長谷川消防局長。 〔長谷川消防局長登壇〕 ◎消防局長(長谷川純) 消防団100人委員会U-35についてでございます。今年度開催をいたしました消防団100人委員会U-35は,消防団活動を広くPRするための消防団手作り新聞の発行やフェイスブック,ツイッターの活用のほか,子供を対象とした防災イベントを開催をいたしまして,親子に参加していただくことで消防団入団のきっかけとしていただくなど,様々なアイデアが出されました。これらの貴重な意見をいかすため,本年に入ってから,各消防団の代表者2名ずつ計22名で構成をしますU-35コアチーム会議を開催いたしておりまして,御提案いただきましたアイデアの集約と来年度の具体的な進め方について議論していただいているところでございます。 来年度は,コアチーム会議の結果に基づきまして,入団促進や団員教育の見直しなど,テーマごとに消防団員の有志を募り「充実強化実行チーム」を立ち上げ,プロジェクトの企画,立案から実行までを取り組んでいただくことといたしております。なお,この実行チームにつきましては,若手団員の主体性を尊重しつつ,35歳以下に限定することなく幅広くメンバーを募集することで,消防団全体での取組となるようにいたします。消防団員自らが考える活性化策が実現するようしっかりとサポートし,消防団のより一層の充実強化を図ってまいります。以上でございます。 ○議長(橋村芳和) 次に,山中渡議員に発言を許します。山中議員。 〔山中渡議員登壇(拍手)〕 ◆(山中渡議員) 下京区から選出されています山中渡です。日本共産党京都市会議員団を代表して2014年度予算案について質問いたします。 来年度予算は,4月からの消費税増税の影響をまともに受けることになります。安倍首相が景気,経済の好循環を幾ら言っても,京都経済を取り巻く実態経済は依然として厳しく,市民の間では消費税増税を心配する声,景気回復感など少しもないなどの声が相次いでいます。また,特定秘密保護法の成立,改憲,集団的自衛権行使の動き,自助を強制する社会保障関係法の成立,原発を基盤とするエネルギー基本計画,TPP参加促進,更なる労働法制の緩和など,生活全般に関わって暮らしを脅かす事態が進むことにも不安が広がっています。市民の暮らしを守る上で,こうした現状に市長がどういう姿勢で予算を編成をするかが厳しく問われます。 最初に,市長の基本姿勢について伺います。第一は改憲と集団的自衛権行使の動きと特定秘密保護法です。憲法の遵守は市政運営の基本です。全ての市職員が採用時に憲法遵守を宣誓し仕事についています。また,秘密保護法に対して,国の隠し事が際限なく増えるとの懸念が広がっていますが,国の情報公開は地方自治体にとって重要事項です。この間,秘密保護法と集団的自衛権の行使を可能とする動きについて,京都市が市民の尊敬の的と仰がれる方として「京都市名誉市民」の称号を贈られた方々が相次いで懸念,批判の表明をされています。哲学者の梅原猛さんは,地元紙で「首相は日本を戦前の体制に戻そうとしているのではないかという国民の懸念が強まっている」「日本はいつか来た道を再びたどろうとしているのではなかろうか」と強い危機感を表明され,作家の瀬戸内寂聴さんは,首相が集団的自衛権の行使容認に意欲を見せていることに「日本は戦争のできる国に一途に向かっています」,また秘密保護法に対して「若い人たちのため,残りわずかな命を反対に捧げたい」と表明され,ノーベル賞学者の益川敏英さんも,憲法9条擁護と共に秘密保護法について「国の情報は公開が大前提」と反対の表明をされました。3人の京都市名誉市民の方のそれぞれの発言について市長はどのような見解をお持ちですか。戦後の平和主義を変質させる動きが目前で起こっている下で,市民の安全を守るべき市長の責任において「集団的自衛権の行使は認めない」との自らの意思をはっきり示すべきと考えますが,市長いかがですか。 特定秘密保護法です。地元紙は「市民の不安を解消できなければ,同法は即座に廃止すべき」との記事を掲載しました。秘密保護法に反対の声を上げる間もなく決められたことへの怒り,「息苦しい社会になる」「言論,表現の自由が制約される」などの声も伝えています。原発事故,震災などの緊急事態において必要な情報が届かない事態は起こらないのか。際限なく国の情報隠しが広がることは全くないのか。市民の言論等の自由が制限されることがないのかの懸念を持ちますが,市長はいかがお考えですか。 第二に,社会保障の削減問題です。国は生活保護受給者が過去最高となったと報告しました。昨年から今年にかけてNHKは3回の貧困の特集番組を放映し,貧困拡大の背景に,構造改革政治の下で非正規労働者が拡大したこと,公的年金加入者の5割が年金額100万円以下であること,生活困窮が進み,公的年金保険料の未納率が4割に達しているなど,生活できない実態の広がりがあると告発しました。ところが国は,社会保障の全分野で自助の強制を求め,その実行を政府の義務とする社会保障改革プログラム法を成立させました。医療,介護では,70歳から74歳の窓口負担増や入院給食費を保険給付から外す,介護保険では,利用料の2割負担への引上げ,要支援者を介護サービスから外そうとしています。年金では,今年度からの約1兆円の支給削減に続く連続的削減,支給開始年齢の引上げ,年金課税強化等々の検討を進めています。医療,介護,年金など国の検討する施策の実行を許すなら,市民の暮らしが押しつぶされるではありませんか。その認識を市長はお持ちですか。社会保障を巡る国の動きが市民にもたらす悪影響を具体的に把握し,その課題を明確にする作業が直ちに必要だと考えますが,市長いかがですか。 さて,一般会計7,400億円,総額1兆6,400億円の2014年度当初予算が提案されました。具体的に伺います。第一は市財政問題です。財源不足を強調した予算になっていますが,市長も「実質的な地方交付税は三位一体改革以降大幅に削減されてきた」と認めているとおり,地方財政を厳しくした大元は,国の地方交付税の削減にあります。本市では,2003年度,972億円あったのが2012年度では610億円と大きく減りました。国は苦肉の策として臨時財政対策債で繕おうとしていますが,それを加えても実質大幅削減です。予算編成で財源不足を言う前に,地方財政にとって肝心の問題である国の地方交付税削減が繰り返されていることをどのように認識されているのか。また,その増額についてどのような取組をしてきたのか。改善の見通しがあるかなど,市民に分かりやすく説明する責任が市長にあると考えますが,いかがですか。さらに,地方交付税交付団体である京都市では,地方消費税交付金の増額があっても基準財政需要額が変わらなければ,結果として地方交付税の削減が行われるため,財政力はつかず,市民に付け回される構造は何ら変わらないと考えますが,市長はこの点についてはどのように認識をされていますか。 また,予算案では国の経済政策と本市の成長戦略が相まって,市税収入は大幅に増加するとしていますが,消費税増税による消費の落ち込み,消費が落ち込めば景気も落ち込むなど,京都経済と本市財政に与えるマイナス影響は大きなものがあります。安倍首相の言うアベノミクス効果についても,増税前の駆け込み需要,大企業の自動車の売上増,高級品の売上増などによるもので,最近の世論調査でも「景気が良くなった実感はありますか」の問いに,66パーセントの人が「いいえ」と答えています。京都府中小企業団体中央会会長の年頭所感でも,TPPを進める国に対して「我々中小企業への影響ははかりしれません」と厳く批判され,中央卸売市場第一市場の初市式でも,場内団体の代表の方は「市場には景気回復感などない」「消費税が心配」と挨拶されました。市長も同席されており,お聞きになったことです。消費税増税による年間1世帯15万円もの負担増など,消費の落ち込みを懸念する試算も公表されています。市税収入が伸びるどころか消費の落ち込み,経済悪化,税収の減,財政悪化の悪循環が拡大する材料ばかりです。市長はそうした懸念を持ち合わせておられませんか,いかがですか。 次に,新たな負担増とサービス削減が家計に与える影響についてです。国の消費税増税と社会保障の給付削減による負担増に加えて,27億円規模の負担増を強いる本市予算です。そこで市民の暮らしの現状に対する市長の認識について伺います。年金生活者の皆さんの目の前には,年金,医療,消費税,介護保険など,どの分野をとっても負担増ばかりです。サラリーマンについても賃上げは一部大企業でささやかれているだけで,市内の中小零細企業のある経営者の方から,昨年はボーナスも出せなかったという声を聞きましたが,中小企業を取り巻く状況は深刻なままです。事業所減少も止まっていません。本市の非正規率は政令指定都市ワースト1ですが,増え続ける非正規労働者の賃金は正規労働者の6割,ほとんどが年収200万円以下というのが実態です。こうした市民の暮らしの現状に対する市長の認識はいかがですか。また,負担増が市民の家計に与える影響について市長はどう認識されていますか。併せてお答えください。 市長は市民の暮らしを守るために「京プラン」の実行が必要と繰り返していますが,負担増に加えて,この間だけでも市立看護短期大学の廃止,保健所の統合,生活保護基準引下げ容認と受給抑制,さらに敬老乗車証制度を応益負担に改悪する検討の継続など,関係市民の批判を押し切り強行しています。そして,今度はリハビリテーションセンター附属病院の廃止が提案されました。また,職員削減先にありきで,技術職職員が削減された結果台風第18号では人災をもたらしました。消防職員まで削減する計画に不安が広がっています。区役所業務の密度が上がり,丁寧な相談や突発的事態への対応に支障が出ています。このように「京プラン」は市民にとって大事な制度の廃止,先細りの繰り返しではありませんか。市民の安全安心を脅かしていると考えますが,市長いかがですか。 次に,京都市身体障害者リハビリテーションセンターの附属病院廃止について伺います。同施設には身体障害者更生相談所,障害者支援施設,補装具製作施設,そして附属病院が設置されています。ところが今回,リハビリテーションを取り巻く状況が変わったとして附属病院廃止が提案されました。昨年の本会議では「廃止しても十分対応できる」とも答弁されていますが,疑問です。医師など専門家の皆さんは,1,診療報酬上の日数制限を超えても,リハビリが必要な人たちの受け皿機能をどの医療機関がどのように担うのか。2,地域リハビリテーションの推進や年齢障害種別を超えた一体的な施策等が病院機能をなくして確保できるのか。3,他都市の実践を見ても常識として医療を外すことはあり得ない。なぜわざわざ附属病院を廃止するのか。4,外来機能はどうするのかという問題に京都市は答えていないと指摘されています。今日に至るも,この指摘に対する市のまともな説明はないと私は考えます。それぞれの指摘について市長の見解をお答えください。示せないなら提案を撤回すべきと強く求めておきます。 次に,敬老乗車証の見直しです。昨年,副市長は「制度は意義深いが,交付率が50パーセント台にとどまっている」として「運営経費増大で市民の負担増につながる」ことを制度見直しの理由に上げました。交付率が下がったのは最高1万5,000円までの負担増の制度にしたからです。見直しで「社会参加促進対策を講じる」と言っていますが,現制度は市バス,地下鉄をフリーに利用できます。同エリアを定期券で利用すれば月1万8,000円です。一部無料制度を採用しても,あとは半額負担ともなれば,利用者にとって負担増,利用抑制の道しかありません。これでどうして高齢者の社会参加促進が図れるのですか,いかがですか。 加えて,敬老乗車証を利用されている方は,福祉施設や地域のボランティア活動の現役として活躍されています。個々においても,ハイキング,スポーツ,芸術など文化に触れ,買物など地域経済にも貢献されています。ところが,高齢者の皆さんの社会貢献や経済活動など制度が果たしてきた意義や役割について検討した跡がありません。高齢者の社会参加を言うなら,制度の持つ意義役割をまず検証すべきではありませんか。利用者の方の多くは戦後の厳しい時代に第一線で活躍されてきた方です。敬老というなら,制度の意義役割を否定するような見直しを中止すること,敬老にふさわしい制度に充実させるべきではありませんか,いかがですか。 次に,税務事務の集約化について伺います。市税事務所を設置して個人市民税と固定資産税の割当業務を一本化するとしています。今回は税の賦課業務の集約化だけを行うとしていますが,問題は市の資料でも「納税通知書発行直後など,課税業務の問合せ等が集中する」としているように,市民の相談など窓口対応に問題が生じるということが分かっていてやろうとしていることです。個人市民税や固定資産税だけでも通知直後や確定申告時の相談件数は4万5,023件にも及んでいます。職員と財政削減先にありきで,区役所からは税の専門家が引き上げられ,繁忙期は臨時対応ともなればどうなるか。税と福祉施策など密接に関連していますが,ワンストップサービスや相談体制の後退が起きることは明白です。市民窓口機能そのものに支障を来すことになるのではありませんか。また,全国の都市の中には税の徴収業務まで税務事務所で扱っている例がありますが,京都府では京都地方税機構を作り,府内の自治体から移管を受けた滞納の催告通知や差押え業務を行っています。府の税機構が設置された翌年の差押え件数は9,971件と設置前の2倍にも膨れ上がりました。市税事務所の設置が将来においてこうした方向を目指しているなら,市民生活に一層の悪影響を与えることになると考えますが,市長いかがですか。 次に,介護保険制度について伺います。制度が始まって14年目です。安倍政権は今後,在宅介護支援強化,介護予防強化,総報酬の完全実施の名の下に,更に国の負担削減を図ろうとしています。認知症の人と家族の会の皆さんは,軽度認知障害の方が全国で400万人いることを上げ,早期発見,早期対応の認知症ケアの後退,利用抑制による重度化の進行,負担増,給付抑制による生活不安が拡大することを心配されています。事業者の皆さんからも介護職員処遇改善交付金の廃止,通所介護の時間区分や報酬見直しの結果「財政状況が一層厳しくなっている」「生活支援の時間削減でコミュニケーションがとれず,利用者の方との信頼関係が悪化した」「低賃金が改善されず,作業密度が上がる下で退職が増えている」との声を聞きます。こうした利用者,事業者の皆さんの不安の声や実態について市長は把握しておられますか。また,国が検討を進める保険給付の対象の縮小・在宅介護の拡大,ヘルパーの生活援助の切り捨て,利用料の値上げ,ケアプランの定額有料化等々が実行されるなら,一層の介護難民を生み出します。こうした検討の中止を求めるとともに,根本的には介護保険制度に対する国の負担割合を直ちに引き上げるよう求めるべきです。市長いかがですか。 こうした下で高齢者福祉施設の拡充は急務です。特別養護老人ホームの入所申請をされ,待機をされている方は5,736人にも上ります。今予算でも特別養護老人ホームなど高齢者施設整備費の計上は6億6,000万円に過ぎません。下京区では高齢者福祉施設の設置を求める署名が取り組まれ,これまでに3,500人を超える署名が市に届けられ,今も活動が続けられています。昨年末,下京区のある消防団で地域の高齢化のことが話題になりました。一人の方が「私は70歳だが学区内では若手。リーダーになれと言われてやっているが限界だ」と地域の高齢化を心配されていました。 また昨年,あるラジオ番組が,認知症の91歳の男性が線路内に立ち入り死亡した事故で,JR東海が同居の80歳代の妻と,それと別居している長男に,男性の安全対策をとっていなかったとして損害賠償を求め,裁判所が720万円を支払うよう命じた事例を取り上げ,高齢化社会と在宅介護の在り方の限界について問い掛けていました。知り合いにも80歳の男性で認知症の妻を介護されている方,70歳代の男性で脳梗塞の妻を介護されておられる方がいますが,在宅での介護は本当に大変です。「腰痛が出てきた。自分の体もぼろぼろ」と言われていました。在宅で支える限界が見えてきます。高齢者福祉施設整備が可能な用地は多数存在します。下京区だけでも高齢者施設整備が可能な国,府,市の公有地が10箇所以上存在します。国の法務局跡地や府の女性職業訓練校跡地は都心の一等地です。現在,京都市に対して利用の意思があるかどうか照会などが行われていますが,こうした公有地を視野に,特別養護老人ホームなど高齢者福祉施設の整備促進を図るべきと考えますが,市長いかがですか。 次に,生活保護制度です。一昨年から生活保護制度や受給者に対するバッシングが繰り返し行われてきました。その下で国は,昨年に生活扶助基準の10パーセント引き下げ,保護申請権の制限を目的とした生活保護法の大幅改悪を行いました。これまで口頭でできた生活保護申請が今度は書類の提出を義務付ける。また,福祉事務所に扶養義務者に対する調査権限を新しく加えました。申請を断念させる,いわゆる「水際作戦」を法に盛り込みました。日本弁護士会や生活と健康を守る会などの団体は批判と反対の声を上げ,マスコミも「安全網を弱体化させるな」「貧困が救えるか」とのキャンペーンを張りました。政府は現行の運用と変わらないと国会で答弁していますが,本市の窓口において申請抑制を行わないと明言できますか。また,保護開始の要件ではない扶養義務の履行の強制を懸念しますが,そうしたことは行わないと明言できますか。市長いかがですか。 市はこの間,生活保護受給者の自立支援対策や不正受給対策を強調しています。しかし,そうした取組が申請抑制に結ぶ付くことは問題です。そもそも生活保護制度は国の責任において実施され,本来必要な経費は全額国が負担すべき制度です。「京プラン」実施計画では,自立支援の推進を上げていますが,生活保護制度を行革プランに組み込んでいる自治体は全国でもほとんど例がありません。生活保護費は義務的経費であり,行革の対象にすること自体が問題だと考えますが,市長いかがですか。今日の生活保護費の増大は,先程も触れましたが,非正規雇用の拡大,低賃金の実態,会社の倒産,一人親家庭の生活苦など,親の労働だけでは家計を支え切れないなど,貧困の拡大,生活困窮者の増大によるものです。その改善を図ることこそ本当の自立支援と考えますが,いかがですか。 最後に,リニア誘致について伺います。リニア中央新幹線の誘致予算が計上されています。この間,党議員団が無駄遣いとして撤回を求めてきた一つである京都高速道路計画3路線については,廃止の方向で手続が進められています。もう一つの焼却灰溶融施設についても契約解除となりました。遅きに失した感はありますが,今後の市政運営の教訓とすべきです。そこでリニア誘致の問題です。リニア中央新幹線は本当に必要でしょうか。事業主体のJR東海はリニアの2027年東京~名古屋間開業に向け準備を進めていますが,昨年,国が行ったリニア建設についてのパブリックコメントでは,73パーセントの人が「整備反対,中止,再検討」を求めています。市長は「京都を国土軸から外すな」と東京~大阪間の同時開業を求めていますが,リニアはハイテク,省エネなどの交通機関ではありません。新幹線の3倍の電力量を必要とする指摘もあるなど,エネルギー浪費型の交通機関です。市長はこの点についてはどう認識されていますか。さらに事業費の負担です。JR東海は,今は全部負担するとしていますが,採算の前提に輸送人員1.5倍増を置いています。新幹線の輸送人員はここ20年間伸びていません。今後も人口減で需要が伸びる見込みはなく,JR東海の抱える財政リスクは大きいものがあります。また,京都ルートにすれば3,000億円程度事業費が膨らむことについて,JR東海は行政支援が必要だと言っています。関西財界も国費の投入を言っていますが,これでは国の巨額の財政支出が発生し,将来において新たな国民,市民負担が生じることは明白です。リニア建設による国,地方の新たな財政負担の問題について市長の認識をお伺いし,私の第一質問を終わります。 ○議長(橋村芳和) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 山中渡議員の御質問にお答えいたします。 まず,財政運営についてでございます。本市の臨時財政対策債を含めた地方交付税等の額は,国の三位一体改革等により,平成15年度の1,300億円から,私が市長に就任した20年度には500億円減となる800億円まで削減され,財政運営に極めて深刻な影響を与えました。このため,他都市とも連携して強力に要望を続けた結果,22年度から4年連続して1,000億円台を確保しておりますが,今後とも国に対し,地方交付税の拡充と臨時財政対策債の廃止を強く求めてまいります。なお,この度の消費税率引上げは,社会保障が将来世代へのいわば付け回しで維持されている現状を改めるためのものであり,社会保障の充実,安定化のための財源を確保するものとして国で決断されたものであります。景気は確実に回復傾向にあるものの,市民生活への浸透には一層の取組が必要であります。消費税率引上げによる負担増の軽減のため,60億円を超える低所得者や子育て世帯への給付を行うとともに,中小企業への支援などあらゆる政策を通じ,京都経済の活性化や安定した雇用の創出に全力を挙げてまいります。なお,京プラン実施計画に掲げる職員の削減は,行財政改革を推進することにより,全国トップ水準の福祉や教育を維持向上させるための財源確保を目的とするものであり,市民の命と暮らしを守るための防災,減災対策など,必要な人員についてはしっかりと体制を整備しております。 次に,リニア中央新幹線誘致についてであります。新しい国土軸となるリニア中央新幹線の整備は,我が国の経済の活性化と国民生活の向上にとって極めて重要な国家政策であり,移動時間の大幅な短縮がもたらす経済効果や我が国の交通の大動脈の機能強化が期待されています。新たな技術である超電導リニア方式については,その採用に当たって国の中央新幹線小委員会において,消費電力,エネルギー効率,安全性なども含め議論し尽くされ,その結果,推進すべきと判断され,東京~名古屋間については本年秋に着工が予定されております。しかしながら,名古屋以西については,昭和48年に決定した第二東海道新幹線としてのルートが踏襲され,我々は,全国新幹線鉄道整備法に基づき,公正で開かれた国民的な議論を通じて,ルートを決定していただくよう議論を尽くして求めているものであります。 なお,リニア建設の整備財源の問題でございますが,大阪までの全線同時開業につきましては,関西広域連合として国費の投入を訴えております。ルートにつきましては,費用対効果や経済波及効果等による効果を検証したうえで,国家政策として日本の未来にとって最適な京都駅ルートで整備されるものであり,大阪までの同時開業,関西国際空港までの延伸も含めまして市民ぐるみで強く国に求めてまいります。 私からは以上でございます。以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(橋村芳和) 塚本副市長。 〔塚本副市長登壇〕 ◎副市長(塚本稔) 集団的自衛権及び特定秘密保護法についてでございます。これらに対する名誉市民の方々の御発言につきましては,御自身のお考えを率直に述べられたものと理解しております,集団的自衛権の行使につきましては,我が国の安全保障に関わる外交上,防衛上の重要な問題であり,今日の国際社会の下で世界の恒久平和をいかに実現するかという観点から,国においてしっかりと議諭が進められるべきものと認識しております。 次に,特定秘密保護法についてでございます。同法は昨年12月に成立,公布されたところでございますが,その運用に当たりましては,原発事故,震災などの緊急事態時においても国民の知る権利が保障され,また,言論の自由が損なわれることがないよう,そして特定秘密の保護による国及び国民の安全保障と表現の自由をはじめとした国民の基本的人権の尊重との両立が図られる必要があると考えております。以上でございます。 ○議長(橋村芳和) 藤田副市長。 〔藤田副市長登壇〕 ◎副市長(藤田裕之) 私からは2点お答えいたします。 まず,身体障害者リハビリテーションセンター附属病院についてでございます。本市会に御提案いたしましたリハビリテーションセンター条例の改正案は,今日における民間でのリハビリの実施状況等を踏まえ,医療・福祉等の専門家に真摯に御議論いただいてまいりました社会福祉審議会の答申に基づき,公民の役割分担の考え方の下,附属病院における医療の提供は廃止し,民に委ねる一方,地域でのリハビリの推進や,高次脳機能障害のある方への支援等を公がしっかりと担い,本市におけるリハビリ施策を公民で力を合わせて推進していくものでございます。 まず,診療報酬上の日数を超えたリハビリの対応及び外来機能に関する御指摘ですが,在院日数に制限のない障害者施設等入院基本料適用の病院は現在市内に約1,700床あり,附属病院はそのうちのわずか2.3パーセントの40床であることや,機能的にも特別なリハビリを行っていないことから,民間病院で対応可能と認識しております。外来診療につきましても,多くの民間医療機関で対応可能であります。 また,病院を廃止して施策を推進できるのかという御趣旨の2点の御指摘でございますが,社会福祉審議会の答申を踏まえて策定した基本方針に基づき,引き続き医師をはじめとした専門職員を配置し,医療専門相談や福祉サービス事業者等への指導,更には高次脳機能障害のある方への訓練等に取り組むことにより,公が担うべき地域におけるリハビリの推進を図ってまいります。今後とも,公民の協働によりリハビリ施策を一層推進してまいります。 次に,敬老乗車証制度についてでございます。本制度は,高齢者の社会参加を促進する上で極めて重要なものであり,今後更に進展する高齢化の中にあっても,より多くの方に利用していただき,かつ将来にわたって持続可能な制度としていく必要がございます。このような観点から,京都市社会福祉審議会におきまして,制度の今後の在り方を真摯に御議論いただき,その答申等を踏まえ,より多くの高齢者の皆様に御利用いただけるよう,一定回数の乗車までは無料とし,その後は利用ごとに相応の御負担をお願いする仕組みへと転換を図る,本市としての基本的な考え方を取りまとめたところでございます。制度の具体的な内容につきましては,現役世代を含む市民の皆様や交通事業者の理解はもとより,ICカード化をはじめ大きなシステム開発が必要となることから,今後十分に時間をかけて検討してまいります。以上でございます。 ○議長(橋村芳和) 足立財政担当局長。 〔足立財政担当局長登壇〕 ◎行財政局財政担当局長(足立裕一) 税務事務の集約化についてでございます。税務職員の人材育成と専門性の維持・向上を図るとともに,より一層効率的な執行体制を確立するため,現在,区役所,支所で行っている業務のうち,集中的な処理に適した課税業務は集約し,交通至便な場所に新たに設置する市税事務所で行い,納税者の状況に応じた徴収業務につきましては,これまでと同様にきめ細やかな対応ができるよう,区役所,支所内において行うことを検討しております。業務の集約後におきましても,区役所,支所内に引き続き相談等の窓口を置き,市民サービスに支障を生じさせないことはもとより市民ニーズに合わせたサービスの向上に努めてまいります。以上でございます。 ○議長(橋村芳和) 高木保健福祉局長。 〔高木保健福祉局長登壇〕 ◎保健福祉局長(高木博司) 社会保障制度改革についてでございます。今日の長寿社会の実現に大きな役割を果たしてきた社会保障制度を次の世代にしっかりと引き継いでいくことは,極めて重要であります。こうした中,社会保障制度を持続可能なものとしていくため,国においては財源をしっかりと確保したうえで,いわゆるプログラム法に基づき,少子化対策,医療及び介護,年金の各分野について改革の具体化に取り組まれております。本市としては,今後とも,医療,介護,福祉,そして子育て支援の現場から,積極的に提言を行うとともに,あらゆる努力を払ってこれまでから培ってきた全国トップ水準の福祉の維持,向上を図ってまいります。 次に,介護保険制度についてでございます。介護保険制度につきましては,要介護状態となっても住み慣れた地域で暮らせる地域包括ケアシステムの構築と制度の持続可能性の確保,これらが喫緊の課題となっております。このため,当事者団体事業者代表も参画された社会保障審議会において丁寧な議論が重ねられ,昨年12月に制度見直しに関する意見が取りまとめられたところであり,今後,国会で関連法案の議論が進められることとなっております。本市では,これまでから国に対しまして,低所得者の負担軽減や財源確保等を強く求めてきたところであり,今後とも国の動向を注視しつつ,必要な方が適切にサービスを受けられるよう取り組んでまいります。 次に,高齢者福祉施設の整備についてでございます。特別養護老人ホーム等の整備につきましては,公平性,透明性を確保するため,事業者が自ら用地を確保することを前提として,公募により選定を行っております。第5期長寿すこやかプランにおいては,特別養護老人ホーム,介護老人保健施設,認知症高齢者グループホームの3施設の定員を平成26年度までの3年間で約1,800人分増やし,1万1,500人分とすることを目標として掲げておりますが,事業者の参入意欲は高く,計画期間内に整備目標数を達成してまいります。引き続き,今後とも公募により着実かつ計画的な施設整備に取り組んでまいります。 次に,生活保護制度についてでございます。本市では,専任面接員がお一人お一人の状況を丁寧にお聞きし,活用可能な制度の紹介や,生活保護制度の説明など,本人に寄り添った相談を行っております。扶養義務者の扶養は,生活保護に優先するものの,保護の要件ではなく,申請の意思が確認されれば速やかに生活保護の申請を受理しております。また,生活保護の実施に必要な予算を確保するとともに,ケースワーカーをこの5年間で2割増となる72名増員し,きめ細やかな支援を行っております。生活保護は,市民の命と暮らしを守る最後のセーフティネットであり,極めて重要であり,今後とも必要な人に必要な保護を実施するとともに,制度への信頼を守るため不正を許さない適正な制度運営を貫いてまいります。また,社会保障制度全般の在り方を含めた抜本的な見直しについて,引き続き国に対して要請を行ってまいります。以上でございます。 ○議長(橋村芳和) 山中議員。 〔山中渡議員登壇(拍手)〕 ◆(山中渡議員) 集団的自衛権の行使の問題なんですが,その憲法解釈を変えるということで,安倍首相は9条を否定しました。そして最近は,憲法解釈の「最高責任者は私だ」とこういう発言されて,立憲主義まで否定しました。ここまで来て,市長の言われるその平和の理念というものの解釈を変えようとしているということですから,今こそ市長が,憲法擁護を発信すべきだという風に考えております。強く求めておきます。 リハビリセンター附属病院廃止問題なんですが,「民間の病院で対応できる」という答弁でした。しかし,医師の皆さんなどは,例えば頸椎損傷患者の方の受け入れ先がどこにあるんだということで具体的に指摘されていますし,そして長期に回復に時間を要する方については,その患者の対応ができないということを強く指摘されているではありませんか。「受皿がある」などということではなくて,この指摘をきちんと受け止めていただきたいという風に思います。 引き続き,予算委員会で審議をしていく予定でございます。ありがとうございました。(拍手)~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(橋村芳和) 暫時休憩いたします。 〔午後2時56分休憩〕 〔午後3時19分再開〕 ○議長(橋村芳和) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(橋村芳和) 休憩前の議事を継続し,質疑を続行いたします。 北山ただお議員に発言を許します。北山議員。 〔北山ただお議員登壇(拍手)〕 ◆(北山ただお議員) 私は日本共産党京都市会議員団を代表いたしまして,2014年度京都市予算案に対して,先ほどの山中渡議員に続きまして市長並びに関係理事者に質問をいたします。 第一の質問は,消費税増税を京都市公共料金に転嫁をしないことであります。4月から消費税8パーセント引上げを前に,消費税増税を中止せよとの声が大きく広がっております。政府は「消費税率引上げによる税収は,全額社会保障の充実に当てる」と言い,京都市予算でも地方消費税引上げ分は社会保障に充てると説明がされています。しかし事実はどうか。医療では,70歳から74歳の窓口負担が,4月から段階的に現行の1割から2割の2倍になります。介護では要支援の訪問介護,通所介護を介護保険から切り離す計画を進め,年金は2.5パーセントの支給削減,さらに,マクロ経済スライドシステムなどにより毎年5,000億円もの連続削減が計画されております。こうした福祉の負担増と給付削減は3兆円を超えるわけでありますから,社会保障の充実に当てるどころか,増税8兆円の上に社会保障まで削るというのがその真相であります。結局,消費税大増税の目的は財政再建のためでもなく社会保障のためでもなく,消費税増税で吸い上げた税金を大企業減税と巨大開発や軍事拡大予算に流し込むことが目的であります。 今回の予算案での消費税転嫁などによる公共料金の値上げは,総額で27億7,000万円となっております。とりわけ水道料金は昨年10月の値上げに続く連続値上げでありまして,年間18億6,000万円でありましたが,今回の消費税転嫁で13億円でありますから,これで水道は1年で総額31億6,000万円もの負担ということになるわけであります。そのうえ,文化会館や地域体育館,障害者スポーツセンターなどの使用料値上げ,宇多野ユースホステル,青少年科学センターなど,多数の値上げは市民生活に打撃を与えるものでありますし,同時に京都市の自治体,仕事そのものにも被害を与えるわけであります。市民生活に広く負担を押し付けることに市長は心が痛まないのでしょうか。地方自治体のなすべき仕事は何か,市民生活をいかに守るのか,国のひどい政治に対しては,負担を軽減させるためにきっぱりと意見することではないのですか。市民生活と自治体にも大変な負担を押し付ける消費税増税は,今からでも中止することを国に求めるべきであります。そして公共料金の値上げは撤回することを強く求めるものですがいかがですか,お答えください。 京都市では,昨年11月市会におきまして,消費税8パーセントへの増税を市バス,地下鉄に転嫁する運賃値上げが行われ,利用者の皆さんに新たに10億円もの負担を押し付けることになりました。私は運賃値上げを撤回して市民の足を守るよう求めてきたわけでありますが,交通局予算案は値上げを前提として組まれております。交通局がいかに乗客増を図ろうと言いましても,市バスの初乗り運賃が今度は230円,地下鉄は初乗り運賃は据え置いても,そのほかでは10円の値上げでありますから,例えば市役所と京都駅の間が260円にもなるわけであります。日本一高い初乗り運賃が更に引き上がるわけであります。これでは乗客離れが起こると考えられないのでしょうか。昨年の料金値上げ審議のとき,私は国に対してバスへの補助制度の実現などを強く求めて値上げを回避するようにということを指摘してまいりましたが,その取組はどのようにされたのでしょうか。そのまま値上げを実行するのでは,公共交通の要としての役割を果たすことができるとお考えなのでしょうか。市長の考えはいかがでしょうか。 我が党は,自治体の業務に関わるものや公営企業の事業などについては,消費税の適用除外にすべきことを求めてきまいりました。フランスなどを見ますと,公営交通は除外されております。改めて国に求めるべきであります。11月市会で,理事者は「公営企業であることのみをもって適用除外することは,税の趣旨に沿わない」と人ごとのような答弁でありました。市民生活の掛かった問題であります。市長の明確な答弁を求めます。 第二の質問は,地域経済対策についてお聞きいたします。京都市が物品調達や公共工事,これは2012年度の実績で487億円にも上っております。これは市職員給与と合わせ,地域経済に対して大変大きな影響力を持つことは言うまでもありません。私たちは一貫して,こうしたお金を地域内で循環させることで地域経済活性化につなげるように求めてまいりました。ところが,2012年度と2011年度を比較をいたしますと,金額ベースでは,京都市内中小企業の占める割合が7割から48パーセントへと大きく減り,市外大企業が22パーセントから44パーセントへと大幅に増加をしております。この大きな変化の理由は,ここ最近続いたコンピュータシステムなどの大規模改修があります。しかし,これについても,発注に当たって京都市内の企業でも受注できるように仕様を見直し,入札に掛ける余地もあったのではないでしょうか。また,京都市も出資して京都の先端技術を支援しているアステムなどの力を最大限に生かし,育てる立場で,大型のシステムに関しても受注できるだけの力を付けさせるなどの取組も必要であります。折角の市民の納めた税金が,京都市の外へと流れ出す形となっていることについて,市長はどう認識しておられるのでしょうか。 今こそ公契約条例を制定し,京都市が発注する公共工事や物品調達については,市内業者への優先発注をすること,品質の確保,労働者の賃金単価を引き上げることなど,そうしたことによって,京都市のお金を地域内で循環させるべきであります。こうした中小業者を守り振興するためにも,中小企業振興基本条例の制定が必要となっております。中小企業振興条例制定について,理事者のこれまでの答弁では「理念条例なので,個々の振興の方が必要」と述べて実施しようとされておられません。しかし,中小企業振興の理念こそ大事であります。中小企業振興条例を実施している横浜市では,全ての部局,区役所で中小業者振興に努力をされ,報告書も提出して検討を行い,全庁挙げた取組をされておられます。また,以前から振興条例を制定している東京墨田区では,中小業者の仕事作りや受注機会の拡大など努力されてきたことは御承知のとおりであります。昨年,墨田区ではスカイツリーが完成して,観光客が2,500万人も予定されて,一転して観光対策が脚光を浴びているということでありますが,しかし,そのような条件が変化をした下でも,中小業者支援の姿勢は保たれております。それは地域経済振興条例があり,まちづくりの基本に据えられているからであります。京都市においても早急に条例制定に向けて具体化すべきでありますが,市長の御答弁を求めます。ここで前半の答弁を願います。 ○議長(橋村芳和) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 北山ただお議員の御質問にお答えいたします。 消費税についてでございます。本年4月からの消費税率の引上げは,社会保障制度を将来にわたり持続可能なものとするため,あらゆる世代が広く負担を分かち合い,国,地方を通じた社会保障に要する財源を安定的に確保するために,国において議論を尽くし決断され,実施されるものであります。また,消費税は法の趣旨や国の通知にのっとり,施設や使用料や市バス,地下鉄の運賃などについても円滑かつ適正に転嫁する必要があるものであり,仮にこれを利用者に御負担いただかないとすれば,一般財源すなわち市民の税金でその分を負担したり,公営企業等の経営が圧迫される結果となり,受益と負担の公平を損なうことになります。消費税の引上げに伴う収入は,本市においても福祉や子育て支援の充実等に充て,市民の命と暮らしをしっかりと守ってまいります。 以下,関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(橋村芳和) 足立財政担当局長。 〔足立財政担当局長登壇〕 ◎行財政局財政担当局長(足立裕一) 公契約基本条例についてでございます。本市の工事や物品調達は,毎年度大胆な入札制度改革を実施し,市内企業への発注を最大限行ってきております。例えば大規模工事である二ノ瀬トンネルを市内企業のみの共同企業体に発注し,また法令上,市内企業に限定できない政府調達協定の適用案件におきましても,市内企業を含む共同企業体に発注するなどの工夫をしており,この結果,市内企業との契約件数は近年8割を超えております。市外大企業の受注金額が増えているとの御指摘は,戸籍電算システム開発など大規模な電算システム開発で,どうしても市内企業では対応が不可能な案件が生じたためであり,一時的な受注金額の割合のみを捉えて本市の取組姿勢を評価されることは,全く当を得ないものであります。公契約基本条例につきましては,来年度も予算措置をし,検討を深めてまいりますが,これと並行して,市内企業の一層の受注拡大,ダンピング対策など,更に強力に取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(橋村芳和) 白須産業観光局長。 〔白須産業観光局長登壇〕 ◎産業観光局長(白須正) 中小企業振興条例についてお答えします。本市では「地域の経済と雇用の担い手である中小企業の振興が極めて重要である」との中小企業憲章の理念を新価値創造ビジョンに位置付け,金融,経営,技術面からの下支え支援と,競争力のあるベンチャー企業などの育成・振興を図る成長支援の両面から取り組んできたところでございます。条例につきましては,既に制定いたしました他都市の成果を検証し,経済団体の意見を聞くなどして,引き続き検討を進めてまいります。 ○議長(橋村芳和) 北山議員。 〔北山ただお議員登壇〕 ◆(北山ただお議員) 先ほど市長から,消費税について「適正な転嫁」との答弁がございましたが,市民の暮らしへの影響も応えられず,国と変わらない姿勢には到底納得はできないことを述べておきます。 三つ目の質問です。国民健康保険についてであります。国民健康保険は,国保法第1条にもありますように,国民皆保険制度を支える社会保障制度であり,憲法25条による国民の権利であります。国民健康保険は市民の22万9,000世帯,36万5,000人の加入があり,国民に医療を受ける権利を保障する命の支えでありますが,加入者の多くは非課税所帯であり,低所得の方が多いことは御承知のとおりであります。新年度の国民健康保険予算案では,高過ぎる国保料の値下げが行われず,最高限度額の引上げとなっております。市民の厳しい生活実態から見れば,国保料の引下げを行って払える保険料にすることが強く求められるわけであります。このままでは歯を食いしばっても払えない方が増大することは明らかであります。繰り返される保険料の値上げで払うに払えない世帯が増え,現在4万6,000軒,約20パーセントの方が滞納せざるを得ないのが現状であります。 我が党は,国保制度の根幹を支える国の負担が45パーセントから38.5パーセントへと減らされていることに問題があり,この改善に市長は全力を挙げることを強く求めてまいりました。国保運営協議会報告書を見ましても「被保険者においてもその負担は限界に達しつつある」と述べているわけでありますが,国負担の拡大に全力を挙げる市長の決意をお示しください。2011年度の国保会計に対する一般会計からの繰入れを見ますと,交付税措置分を除くと31億円となっておりますが,基盤安定等分を除く京都市独自の繰入額は20政令都市中13番目で,他都市と比べても努力が足りません。市民の命と健康を守る自治体の責任を果たすためにも国保料の引下げを求めるものであります。決意はいかがでしょうか。 保険料が払えない世帯に対して,短期保険証や資格証明書の発行を行い,差押えが急増しております。差押えの現状を見ると,2005年は370件,7,270万円でしたが,2012年度では1,844件,3億9,300万円と約5倍にもなっているわけであります。差押えは,加入者の方の命綱に対して,つまりわずかな年金や生活費,御商売なら売掛金や手持ち金などを抑えるわけでありますから,暮らしを一層困難にしてしまいます。払えない生活実態をどう改善するのかに腐心することこそ行政の責任ではありませんか。親身で丁寧な相談に乗ること,生活実態をよく理解して分割納入や減免措置を行うこと,必要な方には生活保護の紹介をすることは当然の自治体の仕事であります。さらに,一部負担金減免制度は後退をしています。これも資料で見ますと,2001年度が683件,1億6,600万円でありましたが,2012年度には90件,1,155万円にまで落ち込んでいて,その改善が求められます。短期保険証や資格証明書の発行をやめること,一部負担金制度の一層の改善を行うよう求めるものでありますが,いかがでしょうか。 京都府が2010年,「市町村国保を都道府県単位化し,都道府県と市町村が共同で運営する制度」にするよう国に求めていますが,これは本末転倒であります。一元化によって自治体独自の繰入れをなくしますから,結果として国保料の値上げ,医療の質の低下,受診抑制につながることになるわけであります。市長はその認識を持っておられるのでしょうか。答弁を求めるものであります。 四つ目の質問は,焼却灰溶融施設契約解除による損害賠償問題についてであります。昨年8月,京都市は焼却灰溶融施設建設の契約解除を住友重機械工業に通告しました。溶融施設はダイオキシンの発生や度重なるトラブルで稼動の目途もつかず,性能審査委員会で2013年8月末までに引渡しが不可能と判断され,契約書に基づいての解約でありますから,客観的に見て当然の判断でありました。京都市は,今議会で訴訟の議案を提案されておられますが,市民に一切損害を与えることないことを明言をし,損害賠償請求をする決意を強く求めるものであります。 さらに,京都市政の歴史において,前例のない今回の建設契約解除及び202億円にも上る損害請求という事態の責任は市長にあることは明白であります。元々焼却灰溶融施設はごみの減量化という根本的な対策をおろそかにして,180億円もの税金投入で焼却灰を減量させるという箱物行政の典型でありました。私は,当初からこれは不要な施設と指摘してまいりました。建設費で180億円,年間経費でも20億円掛かるというわけですから,50年使えば1,000億円以上にもなるわけであります。もっと市民と一体となったごみ減量化に取り組むならば,こんなに経費は掛かりません。いかにごみを減らすことができるのか,これが最大の鍵であります。しかも建設中にトラブルが相次いで発生し,本格稼働に至らず,我が党議員団は建設撤回を強く求めたのでありますが,市長は2011年11月に「原点に返って総点検」これを指示をして,その後のトラブル発生においても明確な判断もできないまま4年近くも過ぎて,やっと契約解除にしたのであります。市長は多額の税金を使っての市政混乱の責任をどう取られるのですか,御答弁を求めます。 五つ目に,市バス・地下鉄事業についてお尋ねいたします。市バスは3月22日から市バス新運転計画を実施して,バス車両の増加や西賀茂をはじめとする路線の拡大,ベンチや上屋の増設,バスロケシステムの3年間で200基建設,バス系統ごとの色分けで分かりやすい路線など,乗客の増加に向けて積極的な取組を予定されております。この中で均一区間が嵐山など一部で拡大をされております。民間バスとの協議が整っての実現となったわけでありますが,私は,京都市内全域を均一区間として料金を一本化し,1日乗車券など乗客サービスを向上させることが必要と考えますが,いかがでしょうか。 さらに,公共交通であるバスに対する市民の期待が高まっております。この間,北区の西賀茂地域や山科の鏡山など路線の拡大がされておりますが,交通不便地域におけるバス路線設置が更に求められるわけであります。山科区の小金塚,南西部地域,伏見の藤城学区,向島地域,南区や右京区などなどバス路線の拡大を求める声が大変大きくなっているわけであります。京都市は,市民,利用者とのバス路線やダイヤの設定などについて協議する場を設置して要望に応えていくべきでありますが,いかがでしょうか。 京都市内は,春や秋の観光シーズンはもとより年中交通渋滞が発生して,バス走行に支障を来しております。交通局は京都府警との連携を持って走行環境の改善など努力をされておられますが,車の総量規制を本格的に実施することが不可欠であります。都市計画局「歩くまち・京都」では,自動車分担率を20パーセント以下にして公共交通分担を引き上げることになっておりますが,今こそ東大路通など思い切った総量規制に踏み切っていくことが求められます。いかがですか。 地下鉄につきましても,烏丸線転落防止柵が新年度に御池駅,次年度に四条駅と京都駅に設置されることが決まっております。私はかねてから,烏丸線全駅に早期に設置することを求めてまいりました。国の補助制度が建設補助と同じであるため,財政面での困難が早期設置の障害となっております。補助制度の一層の拡大を国に強く求めて,一日も早く烏丸線全駅に可動柵設置がされるよう求めるものであります。決意をお示しください。 六つ目の質問は,少人数学級の実現と高校入試制度の改善についてであります。少人数学級の拡充につきましては,今日の教育現場の現状から,また行き届いた教育の実現のためにも,保護者や学校関係者及び広範な市民の皆さんからも要望が寄せられております。我が党議員団もかねてから要望してきたところであります。政府は2011年度から小学校1年生に35人学級,2012年度から2年生で35人学級となりましたが,京都市のように先行して実施している自治体に対し,2年生の財政措置はされず,その後は見送られております。教育長のこれまでの本会議答弁では「少人数学級の更なる拡大に向け,教職員の定数改善について国や府に引き続いて要望する」と述べられ,少人数学級の必要性を認められ予算要望もされているわけでありますが,今こそ小学校全学年で少人数学級を実現することを強く求めるものであります。また「学校の先生は仕事に追われて大変」という声は地域の中でも聞こえてきます。先生方にお聞きしてみました。先生方は「子供たちに少しでも多く接していたいけれども,授業の準備や会議の出席,レポートの提出などに追われて時間がとれません」と悲鳴の声でした。2012年11月に全国教職員組合が実施した勤務実態調査で,京都の調査結果はどうか,1箇月の時間外勤務が,平日及び土曜,日曜で72時間7分,持ち帰り仕事が21時間32分,合計93時間39分となっておりまして,全国平均を2時間26分も上回っております。今こそ,定数改善に向けて真剣な要望を重ねて実現すべきであります。京都市としての独自の増員を行うことが求められます。実施をするのに16億円の財源が必要と,答弁をこれまでされてまいりました。しかし,これまで10年間で100億円も削ってきた教育予算を拡充することは当然ではありませんか。市長の決断を求めるものであります。 次に,新しい公立高校入試制度についてお尋ねいたします。京都市・乙訓地域の公立高校入試制度が,この春から単独選抜の導入や通学圏の拡大などで大きく変わりました。これまでの京都市北・南通学圏が統合され京都市・乙訓通学圏に拡大され,前期・中期・後期の三段階選抜となったわけであります。ところが,公表された希望調査を見ますと,京都市・乙訓地域の前期選抜で5,000人が不合格体験をすることになるのであります。しかも,不合格となった中学生が直後に行われる中期選抜までに,新たな志望校を選んでの再挑戦は余りにも厳しいもので,不安が広がっております。受験生の皆さんや保護者,先生からのお話をお聞きしました。すると「どう選択していけばいいのかよく分からない」「合格ラインが分からず,志望校が定まらない」と不安の声がありました。入試制度の変更で大混乱となっているわけであります。中学校卒業生に見合った募集定員を増やさないために,卒業生にとって公立高校は狭き門となっているわけであります。従来に比べて過度に競争的な入試制度になること,そして選抜制度の複雑さを更に加速させてしまうことが大きな問題であります。地元の子供さんが地元の高校に安心して通える高校づくりが今求められているのであります。一,二年生にとっても大きな問題であり,私は現場や子供の声などをよく聴いて,制度の見直しをすることを強く求めるものですが,いかがですか。 最後に,山科区の河川改修についてであります。昨年9月15日から16日にかけて台風第18号の被害が発生したことは記憶に新しいところであります。大雨特別警報が初めて出された中,京都市内各地で浸水被害が発生しました。山科区では安祥寺川や四ノ宮川,旧安祥寺川における越流・氾濫,周辺部における土石流の発生などにより,全壊1件,床上浸水35件,床下浸水166件,土砂崩れ,冠水,倒木,落橋などの被害が起こり,地下鉄東西線,京阪京津線が4日以上にわたって不通になるなど甚大な被害が発生しました。市街地を蛇行する四ノ宮川は,全体として川底が浅く,大量の雨量に耐えられない状況にあり,かねてから抜本的な改修が求められてきました。安祥寺川は,JR東海道本線・湖西線のガード下の道路の下をくぐるルートであり,今回ここが氾濫して京津線沿いに流れて地下鉄東西線が不通となったわけであります。旧安祥寺川も越流して民家に流れ込んでおります。いずれも改修が求められていたわけでありますが,一級河川のため京都府の管理であります。京都府,そして国,JRなどが責任を押し付け合って着手してこなかったのであります。早急な改修を強く求めまして質問といたします。(拍手) ○議長(橋村芳和) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 北山ただお議員の御質問にお答えいたします。 山科区の河川改修についてでございます。京都市内にある380の河川のうち340の河川を京都市が管理しており,厳しい財政状況の下でありますが,河川改修など浸水対策を全力で進めております。国や京都府が管理する河川につきましては,それぞれの管理者が責任を持って管理を進めており,昨年9月の台風第18号による浸水被害を踏まえ,直ちに国と京都府に対し,緊急対策の実施を強く求めたところであります。大きな被害が発生した山科区では,現在,安祥寺川において,京都府が浚渫や不法占用橋の撤去や指導を実施しており,本市では,道路上にあふれた水を再び河川へ戻すための対策等できる限りの施策を検討しております。今後とも国や府と更なる連携を強化し,浸水対策に取り組んでまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(橋村芳和) 塚本副市長。 〔塚本副市長登壇〕 ◎副市長(塚本稔) 焼却灰溶融施設についてでございます。環境共生社会の実現と本市唯一の埋立処分地の延命化を目指し,家庭ごみ有料指定袋制や業者収集ごみの透明袋制などのごみ減量の取組を市民,事業者の皆様の御理解,御協力の下,着実に推進してきた結果,ごみ量はピーク時から4割以上の削減を図ることができました。加えて,埋立処分地をより長期に活用していくため,有効かつ技術的にも確立された焼却灰溶融施設の整備を進めてまいりましたが,明らかに住友重機絨工業株式会社の技術的な問題によりまして,契約解除に至ったものでございます。今後,損害賠償に関わる議案を御議決いただいた後,司法の場において速やかに解決を図るとともに,埋立処分地の延命策につきましては,市民,学識経験者等からなる廃棄物減量等推進審議会において検討を進めてまいります。以上でございます。 ○議長(橋村芳和) 堀池交通政策監。 〔堀池交通政策監登壇〕 ◎交通政策監(堀池雅彦) 公共交通利便性の向上についてでございます。現在,幾つかの地域で区役所を窓口に,自治連合会など地域の皆様と都市計画局や交通局などの関係局,交通事業者等が連携して会議体を設置し,公共交通利便性向上のための具体的な方策の検討を進めており,今後とも,行政や交通事業者等が一体となり,住民の皆様の主体的な取組を支援してまいります。また,総量規制につきましては,自動車交通量の抑制に効果が期待される反面,住民生活や経済活動に大きな影響を及ぼすため,これまでからパークアンドライド等の自動車流入抑制策に加え,秋の観光ピーク時の嵐山等において,必要な交通規制を実施しており,今後ともこうした取組の充実を図ってまいります。以上でございます。 ○議長(橋村芳和) 高木保健福祉局長。 〔高木保健福祉局長登壇〕 ◎保健福祉局長(高木博司) 国民健康保険についてでございます。来年度の保険料につきましては,総額約156億円もの一般会計繰入金の確保などに加えまして,所得の高い世帯を対象とした最高限度額の引上げにより,保険料率を今年度と同率に据え置き,1人当たり平均保険料を引き下げることとしております。また,きめ細かで丁寧な窓口での相談を行ったうえで,法令等に基づき短期証等を発行することは,負担の公平性の観点から必要であると考えております。国保の都道府県単位化は,本市が要望する医療保険制度の一本化へのステップと評価しており,今後も国に必要な意見を述べるとともに,財政支援の拡充等についても要望してまいります。以上です。 ○議長(橋村芳和) 西村公営企業管理者。 〔西村公営企業管理者登壇〕 ◎公営企業管理者(西村隆) 市バスの均一区間の拡大についてでございます。本年3月22日からの嵯峨・嵐山地域における均一区間拡大は,同一区間を運行する市バスと京都バスの双方において減収が見込まれるものの,お客様の利便性の向上により将来的には増収につなげようとの経営方針の下,とりわけ京都バスの御英断もあり実現に至りました。更なる均一区間の拡大のためには,市バスに先行して当該区間の路線を運行されてきた民営バス事業者の経営上の課題がありますが,引き続き協議を進めてまいります。 次に,地下鉄烏丸線における可動式ホーム柵についてでございますが,まずは,お客様の多い3駅への設置に全力で取り組んでおります。現在実施設計を終えたところであり,来年度に烏丸御池駅,平成27年度に四条駅,京都駅に整備し,安全な運用ができるように取り組んでまいります。その後の全駅への設置には財政的な課題がありますことから,引き続き国に対し補助制度の拡充と安全かつ低コストな可動式ホーム柵の技術開発の促進を要望してまいります。以上でございます。 ○議長(橋村芳和) 生田教育長。 〔生田教育長登壇〕 ◎教育長(生田義久) 少人数学級についてでございます。この間,京都市全体で徹底した行財政改革,人件費の削減に取り組む中,少人数学級につきましては,全国に先駆け独自予算を確保し,小学校2年生の35人学級,中学校3年生の30人学級を実施してまいりました。さらには,教員の事務負担を軽減し,子供と向き合う時間の確保を目的とし,ITを活用した校務支援システムの導入など,全ての学校の教育条件の向上に努めております。本来,義務教育の教職員定数の確保は国の責務であり,本市の厳しい財政状況の下においては,独自予算による小学校全学年での少人数学級の実施は困難であります。今後とも,教職員定数の一層の改善について国や京都府に引き続き強く要望してまいります。 次に,公立高校の入学者選抜についてでございます。生徒が主体的に希望する高校を幅広く選べるよう通学圏を統合し,単独選抜制度を導入いたしました。加えて,複数回の受検機会を設けたことで,前期選抜に5,000名を超える多くの生徒が高い目標を持って志願し,その9割似上が中期選抜でも前期選抜と同じ普通科高校を希望するなど,生徒は意欲的に第一志望校にチャレンジをしています。この間,新制度の趣旨を生徒,保護者に十分周知するため,制度の趣旨や各高校の特色を紹介した冊子,リーフレットの全生徒,保護者への5回にわたる配布,11回に及ぶ全体説明会,各高校での説明会や中学校でのきめ細やかな進路指導を進めてきており,北山議員御指摘のような大混乱は一切生じておりません。以上でございます。 ○議長(橋村芳和) 次に,とがし豊議員に発言を許します。とがし議員。 〔とがし豊議員登壇(拍手)〕 ◆(とがし豊議員) 左京区選出のとがし豊です。日本共産党を代表して引き続き質疑を行います。 来月の11日で東日本大震災,東京電力・福島第一原発事故から丸3年になります。原発事故は収束するどころか,今なお14万人が避難生活を余儀なくされ,多くの人々からきずなや仕事を奪い,命や健康を奪い,放射能汚染水は大地や海を汚し続けています。政府が最優先ですべきことは,原発事故の収束と原因究明,被害者の救済と生活再建ではありませんか。それもまともにできない政府や原発利益共同体が,原発再稼働などもってのほかであります。原子力規制委員長は,原発の新規制基準について「事故は一定程度起こり得る」「過度な被ばくを受ければ,それなりの影響を受ける」と説明しており,安全性を保障するものでないことは明らかです。京都府知事も市長も大飯原発の稼働をこれまで容認してきましたが,このような「新規制基準」を根拠に再稼働を認めるべきではありません。原発の経済性や電気の安定供給といった再稼働の口実も次々破綻しています。冬の電力ピークである現在,稼働している原発はゼロでも,電気は安定供給されています。昨年,一昨年の夏も,電力融通が可能な西日本全体の電力供給力を見ると,大飯原発が例え稼働していなくても猛暑を乗り切れることが実証されました。しかも,経済産業省は,わずかこの1年半で原発5基に相当する再生可能エネルギーが普及したことを発表し,原発ゼロどころか火力発電への依存も大きく減らしていく展望が見えてきました。 一方,原発に少しでも頼ろうとしたら,電力会社自身が原発の安全対策に少なくとも1兆6,000億円以上の費用を見積もっているように,安全対策に何兆円ものお金が必要になり,新たに生み出される使用済み核燃料対策の費用の負担を含めると,電気代や税金による負担は際限なく膨らんでいきます。市長は,原発を基盤となる重要なベース電源と位置付ける安倍内閣のエネルギー基本計画案についてどのように認識されていますか。原発稼働ゼロを前提にしたエネルギー政策への転換を政府に求めるべきです。大飯原発と高浜原発の再稼働にきっぱり反対をするように求めます。いかがですか。 次に,原発事故対策についてお聞きします。このパネルを御覧ください。(パネルを示す)京都市では,原発から32.5キロ圏内に住む340人の避難計画しか持っていないうえ,この地域内の甲状腺被ばく対策のヨウ素剤の備蓄場所すら定まっていません。福島第一原発から60キロメートル離れた市町村でも特定避難勧奨地点が設定され,今なお放射能汚染に苦しんでいる実態を踏まえ,全ての京都市民を対象にした避難計画を持つべきではありませんか。より現実的な避難計画を作るためには,スピーディによる季節ごとの放射能拡散予測シミュレーションがどうしても必要です。京都府知事は,高浜原発でのシミュレーションしか認めず,大飯原発や美浜原発については実施手続を拒否されています。知事が申請さえすれば,各道府県に付き年20パターンのシミュレーションを国の全額負担で行うことができるのに,なぜ拒否するのでしょう。市長,京都府知事に対して,スピーディの活用を正式に要請し,高浜原発に続き大飯原発,美浜原発における事故被害予想のデータを出すように求めるべきです。そのデータを京都市防災会議原子力部会に提供し,原子力事故災害対策の抜本的な見直しを図ることを求めます。 次に,再生可能エネルギー,いわゆる自然エネルギーの普及についてお聞きします。市長,原発をなくすためにも,京都市自身が,自然エネルギー普及への強い覚悟を示さなければなりません。昨年策定した京都市エネルギー戦略に続き,3月には京都市グリーン産業振興ビジョンを策定しようとされていますが,まだまだ改善の余地があるので提案をさせていただきます。 一つは,エネルギー戦略を更に発展させて,自然エネルギーを地域資源として位置付けるエネルギー基本条例を策定することです。自然エネルギーが普及したとしても,その恵みが地域外の特定の大企業に独占されたのでは地域経済活性化にはつながりません。自然エネルギーを地域資源と法的に位置付け,その恵みが京都市内で循環するような仕組みを作れば,京都に基盤を持つ大企業や中小零細業者が,それぞれの企業規模に応じて地域社会と共存共栄できる道を切り開けるのではないでしょうか。その下でこそ,グリーン産業振興ビジョンは地域経済活性化策として威力を発揮できます。 もう一つは,京都市自身が,市内の中小零細業者の持つ技術や意欲を悉皆調査するとともに,地元金融機関とも大いに連携しながら太陽熱利用,木質バイオマス活用,小水力発電などの分野での取組を産業政策として強化することです。原発ゼロを前提としながら,地球温暖化対策を推進するためには,どうしても化石燃料の消費を抑えなければなりません。その切り札の一つが太陽熱温水器です。太陽熱温水器は,太陽光発電の3倍ものエネルギーを太陽光から取り出し活用できます。京都市では景観政策との兼ね合いで,なかなか普及が難しいのですが,だからこそ地場の中小業零細業者の力を借りて,京都ならではの太陽熱温水器を開発してはどうでしょうか。木くずやそれらを加工して使いやすくした木質ペレットを燃料として活用することも大切です。介護施設などの福祉施設への経済的な支援と一体に,ペレットボイラーの普及を更に進めることを提案します。そうした中で,市内の中小零細業者の技術を育て,実用化する一環として木質バイオマス発電の実証実験的な導入を試みてはどうでしょうか。京都は,地域に深く根差して成長してきた地域金融機関が全国一発展しているまちです。この力を自然エネルギー普及でも大いにいかすべきです。初期投資の一部は京都市が補助しつつ,地元金融機関と連携して市民から資金を調達する枠組みを作るなどすれば,資金面でも,より気軽に市民が参加しやすくなるのではないでしょうか。そうなれば,小水力発電などの分野も含め,より一層京都市内で進んでいくのではないでしょうか。市長の答弁を求めます。 次に,防災についてお聞きします。台風第18号による豪雨は,京都市内にも大きな浸水被害をもたらしました。避難誘導や住民の安全確保,その後の復旧などに尽力された皆さんに心から敬意を表するものです。同時に,今回の災害は,京都市の防災体制の脆弱さを浮き彫りにしました。京都市では,かつてない台風被害が広がる中,災害対応の中心を担う危機管理の人員体制の薄さから,総合的な調整を行うべき災害対策本部会議が開催できない状況が続きました。災害対策本部会議が開催されたのは,特別警報が発令されてから実に7時間が経過した昼の12時であり,京都市職員の持てる力をより効果的に発揮し切ることができませんでした。福知山市では,特別警報発令以前において被害拡大の可能性を受け,早朝3時半に本部会議を開催し,総合的な調整を図っており,こうした他都市の対応に謙虚に学ばなければなりません。 小栗栖排水機場の補償問題を巡っては,今回の台風被害で最大の被害地域を京都市の人災によって生み出したにもかからず,京都市による謝罪と補償交渉の体制が確保できない深刻な事態に至っています。職員不足を派遣社員で穴埋めしていますが,それでも追い付かず,被害から5箇月もたつのに,被害申告541件に対し訪問調査は519件にとどまり,22件についてはいまだ調査すらできていない状況です。示談締結はわずか33件にとどまっています。台風第18号被害対応の総括を踏まえ,職員削減が京都市の防災力を大きく弱めていることを率直に認め,職員削減方針は大本から改め,来る大規模災害に備えて必要な人員を確保し,京都市の災害対応能力を抜本的に引き上げること求めます。小栗栖排水機場問題に関して,速やかな謝罪と補償を行うために全庁的な体制強化を強く求めます。 次に,国や京都府と一体になった総合的な防災対策についてお聞きします。このパネルを御覧ください。(パネルを示す)ここに小さく写っているのが私です。河川氾濫によって左京区鹿ケ谷一体に被害をもたらした桜谷川上流を調査したときの写真です。大文字山の山腹が縦60メートル,幅21メートル,深さ4.5メートル以上にわたって崩壊している箇所が見つかりました。現場のすぐ下流の谷筋に沿って続く京都一周トレイルコースでは,地盤から高さ4メートルのところまで泥水が到達していた痕跡が見つかりました。大量の土石流が,更に下流にある砂防堰堤をも乗り越えて住宅地に被害をもたらしたのです。人家のあるところの防災対策を行う京都市と,治山や砂防を行う京都府が一緒になって入ってしかるべきところでしたが,私たちが被害を報告し調査を依頼するまで京都府も京都市も把握すらしていませんでした。必要なのは,住民の安全を守るという立場から,京都府と京都市がそれぞれの角度から協力して取り組む体制の構築ではないでしょうか。紹介した大文字の山腹のみならず,今回の台風で危険性が顕著となった箇所については,京都府と一緒になって被害原因を把握し,流域ごとに踏み込んだ治山,砂防,防災の総合的な対策を立てることを求めます。いかがですか。 台風第18号豪雨による増水で,宇治川,桂川,鴨川などの堤防が大きなダメージを受け,再び増水すれば堤防が決壊しかねません。水害が収束した後,倉林明子参議院議員と我が党市会議員団・府会議員団が共同して宇治川堤防を調査したところ,堤防外側に無数の穴があき,堤防からの水が噴き出していた痕跡が見つかりました。このパネルを御覧ください。(パネルを示す)この現象をパイピング現象といいます。このイラストに示したとおり水の道が堤防の中に出来,堤防の強度を弱め,放置すれば同じような増水があったときに決壊のおそれがあります。我が党からも既に国や京都府に対し要請はしてはおりますが,京都市としても,所管する国や京都府としっかりと連携し,鴨川,桂川,宇治川などの堤防の総点検を行い,パイピング現象対策をはじめ,堤防の必要な能力の確保を求めますが,いかがですか。市長の答弁を求め,前半の質疑とします。 ○議長(橋村芳和) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) とがし豊議員の御質問にお答えいたします。 原子力発電所の稼働と事故対策についてであります。本市ではこれまでから原子力発電に依存しないエネルギー政策への抜本的な転換について国に対して強く求めており,中長期的には脱原発依存,短期的には稼働の必要性を明らかにし,万全の安全性を確保のうえ,地域住民の理解が必要であると認識しております。また,昨年12月に策定いたしました京都市エネルギー政策推進のための戦略においても原子力発電に依存しない持続可能なエネルギー社会を目指すことを明確にしております。 次に,スピーディの活用についてであります。国においては,福島第一原発事故を教訓に,最新の科学的知見に基づき,スピーディに比べ予測範囲が広く1年を通じた気象条件を反映できる拡散シミュレーションであるMACCS2を用い,全ての原子力発電所についての放射性物質の拡散予測を実施し,緊急時の防護措置を準備すべき区域,いわゆるUPZを定めるための予測結果を示しました。本市におきましても,国の方針に基づくとともに,本市の原子力部会の専門家の意見を十分に踏まえたうえで,MACCS2を用いた拡散予測により,大飯発電所から32.5キロメートルに掛かる地域をUPZとする京都市地域防災計画原子力災害対策編を昨年3月に策定したところであり,市民の皆様の命,健康,財産を守るため万全を期しております。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(橋村芳和) 塚本副市長。 〔塚本副市長登壇〕 ◎副市長(塚本稔) 産業政策としての再生可能エネルギーの拡大についてでございます。昨年12月に策定いたしましたエネルギー戦略の中で再生可能エネルギーの飛躍的な普及拡大とエネルギー・環境産業の育成振興を政策推進の柱に位置付けてまいりました。今重要なことは条例を作ることではなく,戦略の示す施策の方向性を具体化する16のリーディングプロジェクトをしっかりと推進することであり,その具体化実現のために全力を傾注してまいります。 次に,エネルギー・環境産業における中小零細企業の育成につきましては,これまでから,京都市産業技術研究所における技術支援や伏見のらくなん進都に開所した京都市成長産業創造センターでの中小企業への技術の橋渡し,さらには京都産業エコ・エネルギー推進機構を通じたオール京都体制の支援などにおいて取り組んできたところであります。今後,京都の強みである産学公の連携により,一層の強化を図るとともに,中小企業の技術動向調査・分析などを踏まえ,策定をいたしますグリーン産業の振興のビジョンにおいても明確に位置付け,効果的な施策の推進を図ってまいります。 次に,職員削減と防災力についてでございます。「京プラン」実施計画に掲げる職員の削減は,行財政改革を通じて全国トップ水準の福祉や教育を推進するための財源確保を目的とするものであり,また市民の命と暮らしを守るための防災減災対策につきましては,最優先課題と認識し,防災危機管理室の行財政局への移管や各区支所への地域防災係長の配置,橋りょう健全化のための増員など体制強化を図っているところであります。 また,今回の台風第18号への対応では,こうした本市の取組と何よりも消防団や水防団,自主防災会等京都が誇る優れた市民力・地域力の発揮により人的被害を最小限にとどめることができましたが,その経験を教訓として,大規模災害に備え参集職員の効果的な配置や被害情報の共有化,迅速化など更なる災害対応能力の強化を進めております。御指摘の災害対策本部会議は,9月16日の正午に市長をトップに開催しておりますが,正午に開きましたのは,人命の保護などの応急の災害対応を最優先とする中で最適の時間を選んだものであり,人員の多寡とは関係はございません。 また,小栗栖排水機場の浸水被害に遭われた方々に対しましては,一日も早く賠償ができるよう,昨年10月28日付けで11名の対策チームを設置し,12月には更に10名を増員するなど,全庁挙げて全力で取り組んでいるところでございます。以上でございます。 ○議長(橋村芳和) 藤田副市長。 〔藤田副市長登壇〕 ◎副市長(藤田裕之) 京都府と連携いたしました防災対策についてでございます。本市では,毎年度京都府も参画いたします各区防災会議を開催し,災害危険箇所の調査や対策についての協議を行っておりますが,昨年9月の台風第18号による被害箇所を踏まえ,京都府とより一層連携を深め抜本的な対策の検討を進めてまいります。 次に,パイピング現象の対策についてでございます。台風第18号の大雨により桂川や宇治川において堤防の内部や下部に水の通り道が出来,水が土砂と共に堤防の外に噴出するいわゆるパイピング現象が発生しております。これを受けまして,現在河川を管理する国において,パイピングが生じた箇所のボーリング調査や対策の検討が行われております。今後,本市といたしましても調査結果をしっかりと確認し,国や京都府に対して河川堤防の安全性の確保に向けた対策を求めてまいります。以上でございます。 ○議長(橋村芳和) とがし議員。 〔とがし豊議員登壇〕 ◆(とがし豊議員) 続いて,保育所の待機児童問題についてお聞きします。市長,今本当に多くの方が「子供を保育所に入れたくてもなかなか入れてもらえない」とお困りです。京都市では,昨年4月時点で94人,10月時点では227人の待機児童がいるとしていますが,それぞれの家庭の事情で地元の保育所を希望しながら待機されている方などを加えると,4月1日現在でも578人に上り,実際には更に多くの方が待機状態にあります。さらに,無理をして保育園に受け入れていただいている定員外保育は14年前にはゼロだったものが,急増を続け3,910人にも上り,もはや受入れは限界です。途中入所は狭き門となっています。政府はこの深刻な保育所不足に対し,認可保育所の増設を抑えながら,市町村が保育実施に責任を負わない認定こども園へ誘導し,地域型保育という枠組みを作ることにより,保育士免許がなくてもよい保育を拡大する方向を打ち出しています。とりわけ,死亡事故が多いゼロ歳児から2歳児における規制緩和は,子供の命と安全にも関わる問題であり,同じ年ごろの子供を育てる父親の一人としても黙っているわけにはいきません。市長は,認可保育所の設置を抑え,市町村が直接責任を負わない認定子ども園・地域型保育という枠組みに向かおうとする国の方針をどのようにお考えですか。市長は,昨年末発行されたフリーマガジンの中で「来年は待機児童ゼロを実現」と述べておられますが,認可保育所の増設によってその約束を果たすことを求めます。いかがですか。 今後,保育所を抜本的に増設していこうと思えば,保育士の確保が急務です。保育の現場では,先生のうち半分が非正規で大変低い賃金で働いているというところもあります。正規の保育士の中でも,腕や腰を痛め仕事を続けられない,賃金や労働条件の過酷さから転職せざるを得ないなど,中堅やベテランの保育士さんが次々辞める残念な状況となっております。保育の現場は,その子供たちの命を預かる現場であり,保育に携わる皆さんは非常に神経を使いながら日々の仕事をされています。その経験の蓄積と継承が京都の保育の質を保ってきましたが,そうした皆さんが仕事を続けられるようにしなければなりません。民間保育園の保育士さんの待遇を支えるプール制への支援を強化し,ポイント制の廃止と合わせ,現場で働く皆さんへの待遇改善を通じて保育の担い手をしっかり確保していくことを求めますが,いかがですか。 次に,美術館再整備についてお聞きします。地元で賛否両論渦巻いた岡崎地域活性化ビジョン策定から3年近くたちました。京都会館再整備を巡っては,京都会館の特徴をなす第一ホール部分が無残に全面解体され建て替えが進められていますが,汚染土壌対策も追加され,予算規模は当初の倍の約120億円に膨れ上がっています。維持管理費の膨張も必至であり,私たちが危惧したとおり,文化予算へのしわ寄せが確実に始まっています。昨年度も京都会館はじめ多くの文化・スポーツ施設の利用料,使用料が値上げされ,今回の予算でも消費税増税を口実に再び値上げがねらわれ,市民はどんどんと文化活動から遠ざけられています。美術館再整備や公園再整備に当たっても同じようなことを繰り返せば,文化や芸術の振興とは全く逆行する事態になりかねません。 そこで,具体的にお聞きします。第一に,市民のための美術館再整備であるという観点を貫き,市民アトリエなどこれまで実施してきた市民向けの取組を後退させないこと。第二に,ワークショップの開催にとどまらず,事業の進展に応じて,市民からの意見を丁寧に聞き,計画に反映させること。第三に,美術館の独立行政法人化や指定管理者制度の導入は行わず,直営を堅持し,体制の強化を図ること。第四に,資金調達ショップ・レストラン等も含めたトータルなマネジメント,展覧会収益を美術館運営に充当する仕組みなどが検討されていますが,美術館本来の事業が大きく制約されることになるのではありませんか。第五に,京都市美術館を京都市指定文化財に指定し,文化庁に対して国の重要文化財指定を積極的に働き掛けること。以上,五点について,市長の御所見を伺います。 次に,区役所の在り方についてお聞きします。市長は,予算説明で「区役所が地域のまちづくりをしっかりと支える」と述べられました。ところが,市長の進める組織再編はその言葉から逆行しています。たとえば,左京区役所の場合はどうでしょう。約40人の職員が市税事務所へと移され,区役所は約220人体制へと大幅に縮小される計画となっています。固定資産税の担当者など地理・地域に精通した外勤職員がごっそり減り,税金に関するサービスだけでなく災害対応能力も弱まります。7人体制の岩倉出張所を廃止して,嘱託職員4人の証明書発行センターに格下げされることも,市民サービスと地域の防災力を後退させます。台風第18号被害から教訓を導き出すとすれば,区役所機能の縮小や岩倉出張所廃止は撤回すべきです。大阪市よりも広域を所管する左京区においては,左京区南部地域を対象とする支所機能を新たに設置し,日常的なサービスと防災力の強化を求めます。いかがですか。 次に,賀茂川,高野川の合流点近く,出町柳駅前にある河合橋の改修についてお聞きします。河合橋の安全対策を求める請願が市議会で採択された昨年9月以降も,自転車とバイクがぶつかるという人身事故が発生するなど安全対策は急務となっています。一日も早く河合橋の本格的な改修に着手されることを求めます。不要不急の北泉橋建設については中止すべきです。 最後に,世界遺産バッファゾーンの保護について要望を申し上げます。現在,哲学の道と法然院に挟まれた風光明媚,緑豊かな傾斜地であるニチレイ保養所跡地で2,200平米にわたる開発行為が行われようとしています。世界遺産に指定されている銀閣寺のバッファゾーンの一部が破壊され,法然院付近から哲学の道にかけての景観が大きく損なわれる恐れがあります。景観を破壊するような開発行為が行われないような十分な行政指導を要望し,第一質問を終わります。(拍手) ○議長(橋村芳和) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) とがし豊議員の御質問にお答えいたします。 京都市美術館再整備についてでございます。京都市美術館は,本年度開館80周年を契機に,多くの専門家や市民の方々の参画を得て将来構想検討委員会を設置し,目指すべき方向性や具体的方策など,様々な観点から検討を進めております。京都市美術館将来構想につきましては,現在,将来的な文化財指定を視野に入れた本館の再整備や多くの利用者が希望されているミュージアムショップ,カフェ等の設置も織り込んで現在パブリックコメントを実施しているところであり,広く市民の皆様の声を反映して今年度中に計画を策定してまいります。 また,美術教室につきましては,建物の老朽化等から本年度末をもって供用を廃止いたしますが,再整備を進める中で,より幅広い市民に美術に親しんでいただけるワークショップルームの整備等について検討してまいります。今後は,京都市美術館が市民の皆様をはじめ全ての人々にとって魅力ある場所として存続していけるよう,適切な運営体制や料金体制,財源確保の方法等について検討し,将来構想の具体化に取り組んでまいります。 以下,関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(橋村芳和) 久保子育て支援政策監。 〔久保子育て支援政策監登壇〕 ◎子育て支援政策監(久保宏) 保育所の待機児童解消についてでございます。本市では,小学校就学前児童の4割を超えて保育所で受け入れるなど,質,量共に全国でも最高水準の保育環境を確保しており,さらに本年4月に向けては,認可保育所では過去6年で最高の455名をはじめ市内初の認定こども園や昼間里親,小規模保育などを合わせて合計565名の定員増を図り,待機児童ゼロの実現に取り組んでおります。また,子ども・子育て支援新制度における認定こども園と地域型保育事業につきましては,質の確保を図るとともに,本市として利用調整などの権限を積極的に発揮してまいります。 次に,いわゆるプール制につきましては,京都市独自に約41億円の税金を投入して,民間ならではの柔軟な運営と創意工夫により円滑に運営されており,このことにより職員給与も全国でトップ水準となっております。以上でございます。 ○議長(橋村芳和) 平竹文化市民局長。 〔平竹文化市民局長登壇〕 ◎文化市民局長(平竹耕三) 左京区役所出張所の体制についてでございます。区役所は,市民に最も身近な行政機関としてサービスを提供するとともに,地域コミュニティーの活性化や地域防災活動の拠点として中心的な役割を担っております。このため本市では,戸籍や税務事務の電算化等の取組を進めることで,市民サービスの充実と出張所の在り方を含めた効率的な行財政運営に努めるとともに,全区役所,支所に地域力推進室を設置し,地域防災係長を配置するなど防災体制の強化を図りました。加えて,左京区におきましては,企画段階から多くの地域住民の方々の参画を得て区総合防災訓練を実施することで,併せて地域コミュニティーの強化を図るなど,区民の皆様と区役所が一体となって防災力を高める取組を進めております。左京南部地域への支所機能の設置は困難ではありますが,今後とも限られた人的資源を有効に活用し,区役所における一層の市民サービスや防災力の向上に努めてまいります。以上でございます。 ○議長(橋村芳和) 河嶋建設局長。 〔河嶋建設局長登壇〕 ◎建設局長(河嶋敏郎) 河合橋の改修についてでございます。河合橋は,高野川に架かる橋りょうで,出町柳駅に近いことから通勤,通学時間帯に混雑しており,歩行者,自転車の通行環境の改善が課題であります。橋りょうの改修についてはいのちを守る橋りょう健全化プログラム(第1期プログラム)に基づき,平成28年度末までに51橋の対策を完了させる目標を定め,現在,耐震補強老朽化修繕を実施しております。河合橋については,第1期プログラムの対象ではありませんが,河合橋の歩道の安全対策を求める請願採択を踏まえ,平成29年度以降の第2期プログラムにおいて,耐震補強と併せ,安全性を向上させるための抜本的な方策について検討を行ってまいります。また,当面の安全対策として,現状の幅員の中で,自転車と歩行者の錯そうを改善するための方策の検討など京都府警や地域の協力の下,通行環境の安全性向上に向けて取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(橋村芳和) とがし議員。 〔とがし豊議員登壇(拍手)〕 ◆(とがし豊議員) 今,前半の答弁について,まず原発の問題について述べたいと思います。全国で10基の原発の再稼働が申請されている中,被害地元になる京都市として原発の再稼働にきっぱり反対と言われなかったという点は,ゆゆしき事態と言わざるを得ません。原発には,安全性も経済性もありません。原発は,再稼働せず,そのまま廃炉にすることが一番の安全対策であり,引き続き今後の予算審議でも求めていきます。 保育所の待機児童問題は深刻であり,更なる認可保育所の増設を求めておきます。 以上で代表質疑を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(橋村芳和) 本日の審議はこの程度にとどめ,延会したいと思いますが,御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(橋村芳和) 御異議なしと認めます。よって本日は,これをもって延会いたします。 〔午後4時40分延会〕~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~          議長    橋村芳和          署名議員  中川一雄          同     中野洋一 △(イメージ)請願文書表「受理番号235」「洛西ふれあいの里保養研修センターの存続等」・請願文書表「受理番号236」「花脊峠トンネルの実現」 △(イメージ)陳情文書表「受理番号78」「老人医療費助成制度の1割負担の存続」・請願の取下げ △(イメージ)損害賠償の額の決定について(市長専決) △(イメージ)損害賠償の額の決定について(市長専決)...